債務上限問題は峠を越えて、リスク選好ムードか
6/5~9の米国株式市場は、堅調な展開か。
米与野党協議は、法定債務上限の効力停止(25年1月まで)で合意をみた。気候変動対策への支出が維持される一方で、化石燃料を含めたエネルギー開発の審査迅速化が盛り込まれる等、与野党痛み分けの内容に。下院と上院での採決を経て、資金繰りが行き詰る(イエレン財務長官)とされる6/5には法案成立となる見込み。
株式市場はリスク選好ムードとなろう。S&P500指数は累積売買高が最大となる価格帯(4150pt付近)を上抜けつつあり、テクニカル面も良好か。もっとも、2011年においては、債務上限を引上げる法案が成立した8/2の3日後に一部米格付け会社による米国債の格下げが実行されており、株価調整リスクが存続していることには留意したい。
相場の牽引役はハイテク株か。大型ハイテク株で構成されるナスダック100指数はAIへの中長期的な期待感等からバリュエーション拡大により上昇傾向に。一方で、マイクロソフト(MSFT)やエヌビディア(NVDA)は既にAIによる収益貢献を報告しており、近い将来の利益押上げを見込んで同指数の予想EPSも上昇しつつある。息の長いテーマか。
6/5~9にアップル(AAPL)の年次開発者会議が予定され、議題の中心はMR(複合現実)ヘッドセットか。バイオジェン(BIIB)のアルツハイマー病治療薬「レケンビ」の完全承認について、6/9にFDA(米食品医薬品局)が諮問委員会を開く予定。前向きな意見が出ればイーライリリー(LLY)等への波及効果も期待できよう。
(5/31記 投資情報部 吉川)