今週の株式市場見通し2011年の日経平均のレンジは10,000〜12,500円前後、後半高を想定(2011年1月)
景気は回復基調にあるが、円高やデフレなど全体として取り組まなければならない課題も多く、経済環境は依然として厳しい状況と言えよう。もっとも、日本企業は大きく変化し始めている。リーマン・ショックやギリシャ危機を経て徹底した合理化やリストラなどを推進、収益体質はこれまで以上に筋肉質になっている。上期(4−9月期)は急激な円高が進行しドル円は歴史的な高値水準となったが、企業努力により好調な業績が維持された。また、下期(10−3月期)の業績を予想するに当たり多くの企業は為替前提を概ね80円に修正し保守的な見通しを示したが、今期(11年3月期)の業績は50%程度の経常増益が見込まれている。為替が前提よりも円安方向に振れれば上方修正される余地もあるだろう。
過去の経験則から言えば株価には先見性があり、概ね1年程度先の業績を織り込むと考えられる。来期(12年3月期)の日経平均のEPS(1株当たり利益)予想を東洋証券では780円程度(現在のPER水準である16倍で評価すれば日経平均は12,480円程度となろう)と見込んでいるが、不確定要因も多く、今期(11年3月期)予想ベースのEPS(646円程度)しか織り込み切れない状況と思われる。今後堅調な世界経済の成長や企業業績、為替動向が明らかになるに連れ、バリュエーションを評価する場面となろう。来期予想ベースで現在の日経平均(10,300円と仮定して)をバリュエーションすれば日経平均はPER13.2倍程度で、米S&P500とほぼ同水準となる。長年言われ続けてきた日本株の割高感は解消されつつあり、近年の海外主要株価指数に対する出遅れを取り戻す場面となるのではないか。
11年の日経平均のレンジは10,000〜12,500円前後の値動きと予想する。11年前半は欧州の財政問題に対する警戒感や円高への懸念が残ると思われることから10,000〜11,000円でのレンジ相場となろう。年後半にかけては、米景気回復予想の確度の高まりから為替が円安方向に転じると想定。業績予想に対する精度の高まりを受け、11,000〜12,500円前後まで水準を切り上げたレンジで好業績を織り込む展開を予想する。
相場は徐々に業績を評価する業績相場へシフトすると考える
潤沢な流動性が世界的な規模で株式市場、そして金・銀・銅・原油といった商品市場に流入、相場を押し上げている。10年秋に日米で実施された量的金融緩和の目標はデフレの克服、すなわち「インフレを起こすこと」であると言い換えられよう。日銀が望ましいと考える物価上昇率は1%程度(「中長期的な物価安定の理解」で公表)で、この水準に達するまで実質ゼロ金利政策が継続される見込み。日銀の予想(「大勢の見通し」で公表)では物価上昇率は11年度にプラス圏に浮上し、12年度には0.6%程度(予想の中央値)となる見込みであることから、流動性相場は当面継続すると考えられよう。もっとも、相場の性格は流動性を背景とした金融相場から、徐々に業績を評価する業績相場へシフトすると考える。
強まる持たざるリスク
東証1部の委託売買に占める海外投資家のシェアは08年に約65%であったが、09年には約54%となり約11ポイント低下した。この過程でグローバル・ポートフォリオにおける日本株比率は大幅に低下したと推測されるが、足元、そのシェアを回復させ始めている。海外投資家が投資姿勢を改め、日本株を見直そうとする動きが統計に表れた結果といえよう。株価上昇を受けて海外投資家は日本株に関して「持たざるリスク」を強く意識する場面となりそうだ。今後の海外投資家動向に注目したい。
(12/22記 情報部 大塚)
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