今週の株式市場見通し12月の株式市場は底堅い展開を想定、日経平均は9,700〜10,700円前後の値動きか(2010年12月)
11月の日経平均は米国の追加金融緩和を境に大きく様変わりし、中旬にかけ騰勢を強めた。11月2日に直近のザラ場安値9,123円を付けた日経平均だが、その後は過剰流動性やドル高円安傾向となった為替などを背景に上昇、18日には約5カ月ぶりに10,000円を回復した。北朝鮮の砲撃問題で一時的に調整場面となったが、これまで押し目らしい押し目もなく上昇してきたことを考慮すれば、過熱感解消のいいガス抜きになったのではないだろうか。北朝鮮問題が起きた翌日、24日の日本を含めたアジア株式市場や欧米の株式市場の落ち着いた対応から察するに、過度な悲観は必要ないと思われる。よって、これまでの日本株の戻り歩調に変化はないと考える。一時的な株価調整場面は押し目買いの好機と捉えたい。
12月の株式市場は底堅い展開を想定する。日経平均は9,700〜10,700円前後の値動きとなろう。これまで株式市場の上値を抑える大きな要因であった為替が円安方向で落ち着きを取り戻し始めており、これまで織り込み切れなかった下期(10−3月期)業績を見直す動きが出始めるのではないか。
ちなみに、日経平均をひとつの銘柄と見立て、予想EPS(1株当たり当期利益)の推移を見ると、10年3月期の本決算がほぼ出揃った5月17日時点で約567円(同日の日経平均は10,235円)、11年3月期の4−6月期決算がほぼ出揃った8月16日時点で約587円(同日の日経平均は9,196円)、11年3月期の4−9月期決算がほぼ出揃った11月16日時点で約653円(同日の日経平均は9,797円)となっている。要するに、利益拡大を織り込めない状況が続き、予想EPSが拡大していたにも関わらず日経平均は5月末に比べ下落したということである。この間、為替市場において円は対ドルで70円台に迫るような急激な円高が進行しており、業績に関する不確実性の高まりが日経平均の上値を抑えたと推測される。もっとも、為替市場で円は落ち着きを取り戻し始めており、業績を再評価する局面入りする可能性もあるのではないか。
物色の対象としては、引き続き世界経済のけん引役であるアジア、そして新興国に関連する銘柄が挙げられよう。テーマとしては朝晩の冷え込みも厳しくなる折、今年もインフルエンザの流行が予想されており、その動向に注目が集まろう。また、12月に日産自の電気自動車「リーフ」が発売される予定となっているが、スマートグリッド等を含め関連銘柄が見直される可能性があろう。
外国人投資家と持たざるリスク
日本株堅調の要因を需給面から見ると、今回の日経平均10,000円の大台回復の原動力は外国人投資家の買いによるものであったと考えられる。東証が11月19日に発表した10月の「海外投資家地域別株券売買状況」(全国の証券取引所、月次ベース)によると、10月(1カ月間)に欧州の投資家は日本株を7月以来3カ月ぶりに買い越し(2,707億円)、その金額は4月(7,074億円)以来の高水準となった。また、北米の投資家も1,576億円買い越し、その金額は4月(3,312億円)以来の多さであった。
週次データでは東証が11月18日発表した11月第2週(8〜12日)の「投資部門別株式売買動向(3市場の1・2部と新興市場の合計)」によると、外国人(海外投資家)は2週連続で買い越し、買越額は840億円(11月第1週は1,857億円)だった。外国人がこれまでの投資姿勢を改め、日本株を見直そうとする動きが統計に表れた結果といえよう。今年6月、欧州の投資家の売り越し金額が8,446億円であったことを想うと投資環境の変化が感じられる。内外の投資家は日本株に関し「持たざるリスク」を意識する場面となりそうだ。今後の外国人投資家の動向を注視する必要があろう。
(11/18記 情報部 檜和田)
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