中国語で「数字経済」と称されるデジタル経済は、今や中国の重要な国策の一つである。2022年10月の共産党大会でも「インターネット強国」「デジタル経済」などの建設加速がうたわれた。生活や産業面でのネット・IT化を推し進め、スマート社会の構築を目指すものだ。
中国の21年のデジタル経済規模は45兆5000億元。対GDP比で39.8%を占めるまでに成長したが、ドイツ、英国、米国の65%超と比べるとまだ成長の余地がある。具体的な重点7分野は、「クラウド・コンピューティング」「ビッグデータ」「IoT」「工業インターネット」「ブロックチェーン」「AI」「VR/AR」。いずれも産業や社会のスマート化に直結する次世代技術だ。
基幹分野で活躍中の企業を挙げてみよう。
まずはデータをつかさどるクラウド分野。中国の22年上半期のパブリッククラウド市場規模は前年同期比34.7%増の165億8000万米ドル。PaaS(パース、開発環境を提供)とIaaS(アイアース、インフラを提供)市場では、アリババ集団(09988)系の阿里雲(アリクラウド)がシェア33.5%でトップだ。以下、華為雲(ファーウェイクラウド、11.1%)、騰訊雲(テンセントクラウド、10.7%)、中国電信(チャイナ・テレコム、9.4%)と続く。
セキュリティ分野では啓明星辰信息技術集団(ヴィーナステック、002439)に注目したい。中国トップクラスの技術力を有し、五輪や国際会議など各種イベントでも同社のセキュリティ技術が採用されている。中国政府が23年1月、データセキュリティ産業の成長率を年率平均30%超とする戦略を出したことも追い風だ。
このほか、地方政府とデジタル化発展で提携・協力を進める中国移動(チャイナ・モバイル、00941)や中国聯通(チャイナ・ユニコム、00762)など通信キャリアの存在感も大きい。