国連の予測によると、世界の人口は2030年に約85億人、2050年には97億人に増加する見込み。人口増や生活水準の向上等を背景に、今後動物性タンパク質の需要増が予想される。もっとも、過剰な家畜の飼育や魚介の大量捕獲は環境や資源に深刻な影響を与えると思われ、その解決策として国際連合食糧農業機関(FAO)では昆虫食を推奨している。
FAOの資料によれば以下のようなメリットが挙げられよう。
①環境的な利点
昆虫は肉変換率「feed-to-meat conversion」(1kg太るため必要な餌量)が良いと言われている。昆虫肉1kgの生産に必要な飼料は2kgだが、家畜牛肉を1kg生産するには8kgの飼料が必要に。昆虫養殖は畜産ほど土地を必要としない。
②健康的な利点
昆虫は、魚や肉と比べ、良質なタンパク質や微量栄養素(銅、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、セレン、亜鉛など)を含んでいる。
③社会的で生計的な利点
野生の昆虫は直接、簡単に採集でき、養殖のための基本的な道具に必要な資本も最低限ですむ。昆虫の採集や養殖は、先進国でも発展途上国でも起業する機会になる。
昆虫は、タンパク質や脂質を豊富に含むだけでなく、昆虫飼料で育成した魚の免疫力・抗病性が向上することやラットの脂質代謝を改善するという。そのため、養殖魚や畜産動物の飼料原料としての有用性だけでなく、その機能性を利用した犬や猫などのペットや人の健康維持などの効用も注目されている。
NTT東日本は1/19、徳島大学発のベンチャー企業グリラスと食料問題の解決に向けた「食用コオロギのスマート飼育」の確立をめざす実証実験を開始すると発表。グリラスの有する食用コオロギの飼育ノウハウとNTT東日本が提供するICT/IoTソリューションを掛け合わせることで、より最適な食用コオロギの飼育環境の構築および確立などを目指す。