政策めぐり相場乱高下
10月以降の中国株相場はやや荒い値動きとなっている。中国のゼロコロナ政策の一部見直しを受けて急騰する一方、感染者数の急増で弱含む場面も見られるなど、マーケットは一喜一憂の展開が続く。
リオープン期待、市場は大きく反応
まずは噂で動いた。10/20、ブルームバーグによる「中国当局、入国者のコロナ隔離期間短縮を議論」との観測報道を受け、主要指数が後場開始直後にほぼ垂直的に上がる場面があった。11/1には「ゼロコロナ政策の出口方向を探る委員会が立ち上げられた」とする未確認情報がネットに投稿され、香港のハンセン指数が前日比5.23%高。同4日には航空旅客便の「サーキットブレーカー制度」(一定数のコロナ陽性者が搭乗していた場合の運行停止措置)の見直し検討報道を受け、再び同5.36%高と急騰した。
果たして、中国衛生当局は同11日、海外からの入境者の隔離期間短縮や二次接触者の判定取り止めなど政策の微調整を発表。ハンセン指数はこの日、同7.74%高と再び急伸した。
政策調整に伴う中国版「リオープン(経済再開)」への期待は素直に相場に反映される。これまでが不透明だっただけに、反動はなおさらだ。10/31(直近安値)から11/15までの約2週間で、ハンセン指数は24.89%、上海総合指数は8.32%、深セン成分指数は9.18%大幅反発した(いずれも終値ベース)。
感染拡大で前途多難、冬を乗り越え春よ来い
ただ、これらと前後して中国のコロナ感染は拡大の一途をたどっている。11/21の新規感染者数は約7カ月ぶりの多さとなる2万7899人。10月末からの約3週間で10倍に増えた。政策緩和と言っても、現状、感染者はもちろん、濃厚接触者までもが施設で強制隔離されることに変わりはない。11月中旬時点で広州や重慶などが事実上の都市封鎖(ロックダウン)状態。各地方都市でも同様の措置が取られている。
"不都合な真実"は「面での拡大」だ。4/13の新規感染者2万9317人(今年最多)のうち、94.5%は上海に集中していた。一方、前述の11/21の新規感染者2万7899人は大都市から地方まで全国に広がっている。中国政府は、駅や空港、高速道路出口などでのPCR検査を徹底し、省(及び市・街)を跨ぐ移動の際の感染者捕捉を強化中だが、そもそも外出機運もしぼみ気味。経済への大きな影響が懸念される。
マーケットではコロナ感染拡大はほぼ織り込み済みと見られ、今後のヒステリックな反応は限定的になるだろう。焦点はむしろ、中途半端に終わったリオープンへの政策調整が前進するかどうか。ただ、いきなりの全面解除ではなく漸進的な調整や緩和になりそうだ。「長い冬」を乗り越え、春の「経済再開相場」までは相場も一進一退の攻防が続くと見る。
(上海駐在員事務所 奥山)