上場企業の利益やや伸び悩み
中国企業の2022年6月中間決算がほぼ出揃った。中国上市公司協会によると、上場企業全体(中国市場のみ)では前年同期比9.2%増収3.2%増益、非金融企業に限ると同10.9%増収4.6%増益だった。景気後退やロックダウン(都市封鎖)、原材料高などを受け苦戦した企業がやや多かったと見られる。ただ、この環境下でしっかり利益を稼ぐ企業があるのも事実。主要セクターの代表的企業の粗利益率を見てみる。
家電で明暗、勝ち組は海爾
家電セクターでは、大手3社の明暗が分かれている。美的集団(000333)、珠海格力電器(000651)、海爾智家(600690)の粗利益率は、"コロナ前"の19年12月期は30%前後でほぼ並んでいたが、その後は差が出た。海爾智家は21年12月期に30%台に乗せ、22年6月中間期も30.2%と高い水準だ。比較的利益率が高い高級ブランドの販売好調などが奏功したようだ。一方、美的集団と珠海格力電器は25%前後まで低下している。
この差は直近の株価推移にも表れている。海爾智家は決して派手な値動きではないが、粗利益率30%超が確認されてからじわり上昇基調。他の2社とは異なる動きだ。
スポーツ用品メーカーでは安踏体育用品(02020)の好調ぶりが目立つ。元々、利益率が高い「FILA」部門の販売好調が全体をけん引していたが、足元では社名でもある「安踏」ブランドの粗利益率が上昇。全体の粗利益率は22年6月中間期で62.0%となっている。ライバルである李寧(02331)も50%台に乗せてきたが、「稼ぐ」という点では安踏に一日の長があるようだ。
苦しいOEMの利益率、改善なるか
一方、電子機器のOEM企業は苦戦が続く。歌爾(002241)は19年12月期に15.4%だった粗利益率が22年6月中間期は13.0%まで低下。立訊精密工業(002475)も同期間で19.9%から12.5%まで悪化している。原材料コストの高騰を出荷価格に反映しづらいほか、新製品の歩留まり伸び悩みなどの事情もあるようだ。もっとも、後者の粗利益率は下げ止まり感があり、厳しい環境を脱しつつあるとも見られる。業績と共に利益率の推移にも注目していきたい。
(上海駐在員事務所 奥山)