最近、リスキリングという言葉を目にすることが多くなった印象。初めて見た時には、すわ新種のリスクかとびっくりしたものだが、英語で表すところの「Reskilling」で、日本語に訳せば「学び直し」と言うことらしい。
もう少し具体的に言うと、新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得すること、になるようだ。
学び直すのであれば、語学でも簿記でもいいようなものだが、リスキリングという言葉は、デジタル・技術スキルの獲得を指すといった意味において使われる場合が多い印象。その背景には日本のデジタル競争力の低下があると思われる。
スイスの国際経営開発研究所(IMD)が毎年発表している「世界デジタル競争力ランキング」によると、2021年の日本の順位は、64カ国中28位と過去最低順位になったもよう。
経産省は、あらゆる産業において、新たなデジタル技術を使ってこれまでにないビジネス・モデルを展開する新規参入者が登場し、ゲームチェンジが起ころうとしていると指摘。こうした中で、企業は、競争力維持・強化のために、デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)をスピーディーに進めていくことが求められるとしている。
このような厳しい環境にあって、企業も動き始めている。
JFE(5411)はDX推進に向けて、社内データサイエンティストの養成と活躍を更に強化する仕組みや、多くの社員がDXを担えるようDS(Data Science)活用環境と教育の仕組みを整備する方針。旭化成(3407)は2024年度目標として、デジタルプロフェッショナル人材を2021年比10倍、グループ全体のデジタルデータ活用量を同10倍、DX重点テーマでの増益貢献として100億円を目指す。業績への貢献が期待されよう。
(投資情報部 大塚)