業績の堅調さを見せた日本企業
日本株式市場では8/10をピークに4~6月期の決算発表シーズンを終えた。
新型コロナやウクライナ問題、上海の都市封鎖、コスト増等ネガティブ要因の多い中で、決算内容は総じて堅調であったと言えよう。
QUICK集計(8/24時点)の東証プライム上場企業(金融除く)の2023年3月期の会社予想の売上高は前期比10.84%増であり、期初予想と比較して、1.28%の上方修正となっている。
同様に営業利益は前期比5.44%増、期初予想から1.11%の上方修正に。
日本企業の多くは円安メリットを享受できる企業が多いと思われ、円安メリットとともにコスト増を価格転嫁できた企業が全体の増収増益に寄与したと言えよう。
日経平均株価は8/17には節目とされる29,000円を超える水準まで買われたが、業績に堅調さが伺われたことや米株高の影響等と思われる。
一方、日経平均の予想PERは12.85倍(QUICK集計、8/24時点)と、過去の予想PERの推移に鑑みても、依然として割安とされる水準にあり、先高期待も強いと思われる。
新しい資本主義による新しいNISA
また新しい資本主義の目玉政策である「資産所得倍増プラン」のNISA(少額投資非課税制度)の拡充による新規資金の流入にも期待したい。
日本証券業協会の調査では証券会社でNISA(一般・つみたて)口座を開設した中で20∼30歳代や投資未経験者の比率が高まっている。
投資家の裾野が広がりつつある今、年末に予定されるNISAの拡充により、株式市場への中長期的な資金の更なる流入が期待できよう。
トヨタ自動車が示した道筋
東証は個人投資家が投資しやすい環境に整備するため、望ましい投資単位として5万円以上50万円未満という水準を明示。
2021年9月29日にトヨタ自動車(7203)は1:5の株式分割を実施(株式分割後の9/29の終値は2,073円)。株式の流動性を高める目的で行われた株式分割は22.3期末に個人投資家数を前期比で71.9%も増やすことに成功した。
1万円を超える株価から分割したことにより、幅広い個人投資家からの支持を見事に獲得した結果と言えよう。
2022年3月末時点で投資単位が50万円以上の上場企業は全体の5.3%だが、日本を代表する日経平均採用銘柄にも株価が1万円を超える上場企業はある。
堅調な企業業績を背景とした先高期待、投資家層拡大傾向下でのNISA拡充、トヨタ自動車の成功等から、今後投資家層拡大を意識した動きが活発化する可能性もあろう。
(投資情報部 佐藤)