ジャクソンホール会議
8/25~8/27にジャクソンホールでカンザスシティ連銀主催の経済シンポジウムが開催予定。毎年開催されており、世界中から中央銀行関係者や金融当局の関係者、経済学者、市場関係者が参加し、経済政策の選択肢等に関して議論が行われる。FRB議長も参加することが通例で、しばしば金融政策に関して、重要な意見表明がなされることがあり、マーケットにとっても重要な転換点となることもあった。今年のテーマは「経済と政策への制約を再評価する」で、恐らく足元の高インフレ下での金融政策に関しても言及がなされることになると考える。
過去のジャクソンホール会議での出来事
これまでもジャクソンホール会議でFRBは重要な政策の方向性に関して、意見を表明することが度々行われてきた。実際、直接政策に関して言及していなくても、演題やその内容がその後の政策を示唆していることが多いようだ。
また米国市場は年末にかけて強気相場になりやすいこともあり、2010年以降のジャクソンホール会議後のS&P500種指数の変化率を見ると2018年以外は年末まで上昇して年内の取引を終了しているようだ。下落した18年は、10月にパウエル議長が講演で中立金利を超えた利上げを示唆したことや12月のFOMC後の会見で資産圧縮を自動運転モードと表現したことが響いたと考える。
株式市場に大きな影響を与えた事例としては、2010年にQE2導入を示唆したことが挙げられる。この時はQE2導入を織り込むような形でS&P500は上昇し、年末までに約18.1%上昇した。
今回の議題から
パウエル議長が通例通り参加する場合、今回のテーマ「経済と政策への制約を再評価する」をインフレとそれへの対処に金融政策で取組む場合の制約などに落としこんでくると予想。
市場の主な関心は、年後半の9月以降のFOMCでの利上げペースの鈍化が発生するか否かという点と利上げの上限がどの程度かという点だろう。例えば、供給制約によるインフレへの対処は金融政策だけでは、限界があるとの趣旨であれば、利上げペースの鈍化や利上げの上限が高くないことが意識され、長期的にみれば好感されると予想。一方、金融政策で積極的に対処する姿勢を示せば、引締め過ぎへの懸念が高まりそうだ。なお過去FRB議長が欠席した後はタカ派な政策が発表されていることには留意したい。
(投資情報部 藤本)