骨太の方針
令和4年(2022年)6月7日、岸田内閣は同政権としては初の策定となる「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針)」を閣議決定した。
骨太の方針では「人への投資」を始め、科学技術・イノベーションへの投資、スタートアップへの投資、グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)を「新しい資本主義」の実現に向けた重点投資分野とした。
日本企業のDXの進捗状況
2021年9月1日にデジタル庁が発足し、日本もデジタル化に歩み出していると思われるが、日本企業のDXへの取り組みはどうか。
一般社団法人日本能率協会「日本企業の経営課題2021」の調査に回答した517社の内、DXに「既に取り組みを始めている」と回答したのは234社と半数を下回った。
また上記企業のDX推進の課題として、「DX推進に関わる人材が不足している」を挙げる比率(「おおいに」∼「やや」の合計)は88.5%と、約9割に達した。デジタル人材不足については骨太の方針からも課題として読み取れる。
そのほか「DXに対するビジョンや経営戦略、ロードマップが明確に描けていない」が同合計66.2%、「具体的な事業への展開が進まない」が同合計67.1%となり、「課題である」と回答した比率が多数を占めている。
DX推進の大前提として、DXで何を実現したいのか、具体的な事業を構想することもまた大きな課題であると見る。
DX銘柄2022
骨太の方針が策定された日に経産省や東証等が東証上場企業の約3800社から選定した「DX銘柄2022」が発表された。
「DX銘柄2022」は「DX調査2022」に回答した401社の内「DX認定」を取得している企業から2021年3月末起点の3年平均ROEやデジタルガバナンスコードの趣旨に沿った評価項目による評価等により、33社を選定した。
DX銘柄の紹介資料では、企業ごとに経営ビジョンにおけるDXの位置づけや取り組み例が紹介されている。
重点投資分野として骨太の方針に掲げられるも、その位置づけが明確でない企業が多いとされる中、DXの推進は競争力強化につながろう。
7月10日の参院選を前に政策期待が高まる今、DX銘柄にも注目したい。
(投資情報部 佐藤)