存在感増すインド
インドは日米豪印の協力の枠組みのクアッドやインド太平洋の経済協力の枠組みのIPEFに加わり国際社会で存在感を増している。世界銀行はインドが2024年に中国の人口を抜き世界最大の人口大国になると予想。早ければ2022年にも中国の人口減が始まる可能性が浮上しており、さらに早い時期に中国の人口を抜く可能性が出ている。またGDPも日印の経済格差縮小が続けば、2030年までに日本を抜くとの予想もあるようだ。
インド経済への期待感
インドの経済発展の背景には1991年の経済自由化後にITアウトソーシング先としてグローバルサプライチェーンの中に組み込まれたことや生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)の増加があると考えられる。
またインドは消費市場としても期待値が高いと考える。確かにインドは格差が非常に大きい社会で「世界不平等レポート」によれば所得上位10%の人間が全所得の57.1%を得ており、中間層が育っているとは言い難い状況。ただ今後、人口増と経済成長に伴う所得増で上位10%以外の人々の購買力も上昇し市場拡大が予想される。
例えばインドの人口が世銀の予想通り増加し、かつ各所得層毎のルピー建ての平均所得がOECDの米ドル建て実質GDPの予想成長率(生産年齢人口で東洋証券調整)通りに増加した場合、約7万ルピーのバイク(ホンダのActiva 6Gが約12万円(1ルピー=1.7279円))を購買可能な層は2050年に2021年比で約3倍に拡大すると予想する。
インドのリスク要因
リスク要因には①カースト制度、②資源の輸入国である点が上げられよう。①のカースト制度は職業選択の自由を制約し、急速に工業化出来た中国と比べインドが出遅れてしまった要因の1つと考える。また前述の極端な所得格差のある社会を生み出している原因の一つと思われ、中間層拡大の阻害要因とも考える。②の点に関して、インドは石油等を輸入に依存している。足もとの原油高等は国際収支の悪化に繋がり経済成長を阻害する要因と考える。
(投資情報部 藤本)