地熱発電、エネルギー安全保障で再評価も。日本のポテンシャルは高い
ロシアによるウクライナ侵攻などを受けて、原油等のエネルギー価格が高騰。日本でも電気やガス料金が値上がりしている。欧州では天然ガス等をロシアからの輸入に依存している国もあり、事態はより深刻か。エネルギー安全保障に問題が生じている状況と言えよう。
水力、風力、太陽光、地熱などの再生可能エネルギーが再評価される場面と考える。
再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、地熱といった自然界に常に存在するエネルギー。その特徴は、一度利用しても再生が可能であり、資源が枯渇せず繰り返し利用できること。発電時にCO2を排出しないため、環境にやさしいエネルギーと言えよう。
日本は世界第3位の豊富な地熱資源量を持っており、地熱発電のポテンシャルが非常に高い国。地熱発電は、CO2排出量がほぼゼロで、持続的に発電が可能な再生可能エネルギーであり、天候などの自然条件に左右されず安定的に発電できる電源。
もっとも、実際に導入されている発電設備容量は、現在約60万kW程度にとどまっており、資源量に対する割合からすると、世界的に見ても少ない。その理由は、地熱が目に見えない地下資源であり、①開発にかかるリスクやコストが高いこと、②地熱資源が北海道や東北、九州など火山地帯にかたよって存在している、といった自然的な条件が挙げられよう。
ただ、2050年にカーボンニュートラルを実現するためには、地熱発電のポテンシャルをもっと生かしていくことが必要。政府の第6次エネルギー基本計画では、2030年に現在の2倍の地熱発電施設の導入目標が定められた。
そこで、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が地熱資源の調査を先導的におこない、調査データを開発事業者に提供するとともに、掘削した井戸を希望に応じて事業者に引き継ぐことで、開発のリスクとコストの低減をはかることとし、2022年度までに約30地点の先導的な調査を進める予定。この他にも、JOGMECは年間およそ20件程度、事業者による地表・掘削調査への支援をおこなっているという。
主な関連銘柄としては、子会社で地熱井の掘削等の坑井掘削サービス事業を行うINPEX(1605)、2000年以降の受注実績で世界シェア1位(会社資料)の富士電機(6504)、設計・製作から建設まで一貫して提供できる三菱重(7011)、九州各所に発電所を持つ九州電(9508)、40年以上の運転実績と新規地点の開発を進めるJパワー(9513)などが挙げられよう。
(投資情報部 大塚)