2022年の診療報酬改定内容が固まる
厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会は、2/9午前に、保険医療の公定価格である診療報酬の改定内容について答申した。これにより、今年4月に予定される2022年の診療報酬改定の方針が固まった。
そもそも診療報酬とは...
診療報酬とは、医療行為の対価として医療機関に支払われる費用を指し、1点10円で計算される。その範囲は人件費に留まらず、医薬品・医療材料の購入費や医療機器・機材に係る費用、施設維持・管理費用に主に充てられている。
診療報酬は通常2年毎に改定され、今回の改定はコロナ禍で初めてとなる。主な柱としては、①新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築、②安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進、③患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現、④効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上が挙げられている。
ちなみに、今回の改定では医師らの技術料や人件費に当たる本体部分は+0.43%とする一方で、薬価部分を-1.37%としたことで、診療報酬全体では-0.94%とマイナス改定になった。個別改定項目については約500ページに及ぶこともあり、紙面の都合上、次に注目できそうな事柄を2つ取りあげる。
不妊治療とオンライン診療
まず1つ目が、不妊治療の保険適用。従来は公的保険適用外だった体外受精や顕微授精が公的保険の対象に加わり、現役世代の自己負担は原則3割(体外受精の平均費用は約50万円)となる。対象も夫婦のみならず事実婚カップルが加わり、43歳未満の女性(体外・顕微の場合)が適用を受けられる。
2つ目が、オンライン診療に関するものだ。オンライン診療に関しては、対面と比べて診療報酬が安くなってしまう(対面で420点の内容をオンラインで行うと240点等)という課題があったのに加え、システム利用料や決済システム利用料といった導入費用がかさむという面もあった。一方、今回の改定では初診料を従来の2,140円から2,510円へと、対面の初診料の約9割の水準にまで引き上げることとなった。これにより、オンライン診療の普及本格化が期待されている模様。
ちなみに、「リフィル処方箋」導入も一部で注目されている。これは、慢性疾患で同じ薬を服用し続ける場合に、診察無しで薬の受取が可能になるというもの。この導入により、医療費の抑制や受診の効率化が期待されているとのこと。
目まぐるしく社会情勢が変化するのと同様に、医療の在り方も今後変化していくことは明白だろう。2年に1度の診療報酬改定はその先を読み解く1つの鍵として注目したい。
(マーケット支援部 山本)