足もとでは「メタバース」という言葉がビジネスや市場で注目を集めている。その裏でもう1つ急速に存在感を増しているとみられるキーワードとして、「NFT」が挙げられよう。
NFT(Non-Fungible Token)は非代替性トークンとも呼ばれ、暗号資産の一種とされている。とはいえ、他の暗号資産との違いとしてはNFTが識別子を持っているということがあり、これにより流通段階でも所有権が誰に帰属しているのかが分かる。言い換えれば、NFTはブロックチェーン上に唯一性を実現できるとして注目されているという。
NFTは創作活動の結果としての作品(文章や絵画、音楽等)を売却して収益化したり、投機収益を得ることが可能となるが、注目すべきは新たな経済圏を生みだし得るその可能性だろう。
例えば、NFTアート。従来はデジタル空間でコピー・拡散することが可能だったが、NFT(の有するブロックチェーン技術)によって作成者や所有者を記録することが可能になった他、改ざん不可能でコンテンツの唯一性を証明できるようになったことから、その価値が拡大している。
別の例では、米Twitter創業者のジャック・ドーシー氏の初ツイートがNFTの形で競売にかけられ、約3億円超で落札されたことも参考になろう。
NFTは既に、様々な領域で活用されており、ここでは3つの領域を取り挙げる。
1つ目がゲームで、ゲーム内アイテムやキャラクター等を売買したりするのに活用されている。2つ目がチケット売買で、オンライン配信によるイベントの電子チケットへの活用事例もあり、なりすましが出来なくなっている様子。3つ目が土地の売買。とはいっても、土地はオンラインゲーム等で所有可能なデジタル空間の土地を指すが、この売買でもNFTが活用されているという。
このように、NFTは活用次第では新しい経済圏、更には今までとは異なる経済活動の在り方を開拓する高いポテンシャルを秘めていると思われる。とはいえ、一部ではその注目度合いに懐疑的な声が挙がるのもある程度は頷けるだろう。安易に飛び込むのではなく、冷静に今後の動向を注視したいところだ。