パンデミック以降、在宅勤務・授業等に必要なPCやタブレット、WiFi機器等の需要が増えた。また家庭向けビデオ配信やゲーム機の需要も拡大した。スマートフォンの5G化も進み、インターネット上を行き交うデータ通信量が飛躍的に増大することになり、クラウドサービス等のインフラ投資需要も高まった。昨年後半にはメタプラットフォームズ(FB)が22年の投資額を21年から大幅に増加させ、290億 ~340億ドルとし、主にAIや機械学習の分野に投資する計画を発表した。
これらの状況は半導体需要を押し上げると期待される。世界半導体市場統計(WSTS)は半導体市場にはプラス要素が多く、エンドマーケットの需要は引き続き強いとの見方から特段の反動減を想定せず、2022年は更なる成長を予測しているようだ。
上記のような背景もあり、半導体の出荷額全体は大きく増加し、WSTSの2021年出荷額見通しは春時点から引き上げられ5529.61億ドルとなった。前年比では25%の成長が見込まれている。
また2022年の出荷額の見通しも春季の見通しと比較して4.9%引き上げられ、6014.90億ドルと6000億ドルの大台にのる見通し。
市場の拡大が予想されていることから、国や大企業主導で製造能力強化が図られている。インテルは昨年3月に新戦略IDM2.0を発表し、同時にアリゾナの2カ所の工場建設に200億ドル投じる計画を発表。さらに3Qの決算説明会で2022年に250億~280億ドルの設備投資を実施する方針を示している。ファウンドリー大手のTSMCは、2022年も製造キャパシティーはタイトな状況を見込んでおり、2022年に400億~440億ドル設備投資する計画を打ち出している。先進プロセスの開発や製造能力を強化する見通し。このような背景もあり、日本半導体製造装置協会(SEAJ)も日本の半導体製造装置の出荷額の見通しを10月発表分から引き上げ、21年は34.4%増、22年は5.3%の出荷増を予想しており、22年には4兆円の大台に乗る見通し。需給バランスが崩れることには注意が必要だが、好調なエンドマーケットを背景に半導体、製造装置ともに、引き続き好調と予想される。
(投資調査部 藤本)