今年も満を持して年末商戦がスタートした。米国では現地時間11/26に恒例の大規模セールである「ブラックフライデー」を迎えた。同11/29には感謝祭の翌月曜日から始まるオンラインショッピング上でのセール「サイバーマンデー」を迎え、例年ならば消費が盛り上がるというが、今年は一味違ったものとなりそうだ。
各種報道によれば、現地では品切れが目立ったという。コロナ禍に伴う急激な需要回復に端を発した供給制約の問題が顕在化した格好で、「スター・ウォーズ」シリーズのブロック玩具「レゴ」といったような人気商品は早々に売り切れてしまった模様。また、値引き率も消費者の要求水準を満たすものではなかったようで、値引きの減少が目立ったとの声も。
売上高に関しても異変が見られた。NRF(全米小売業協会)の予測では、11~12月の年末商戦の売上高(自動車・ガソリン・外食除く)が前年比1割増えるとされた。一方でAdobe Analyticsのデータによれば、今年のブラックフライデーのオンライン支出は89億ドルと初めて前年実績を下回った(前年は21.6%増の90億ドル)ようだ。サイバーマンデーも同様だった。
機会ロスに加え、初の減速。これだけを見れば、米国引いては世界の消費動向に対する懸念が生まれる可能性もあろう。
とは言え、諸事情に鑑みれば過度な悲観は禁物かもしれない。オンライン消費の落ち込みの背景には、小売各社によるセール前倒しによる買い物時期の分散や、入店規制のあった前年に比べ実店舗の客足が回復したことがありそうだ。
また、米国のみならず日本や欧州・豪州諸国を対象とした調査では、両日に買い物をする予定との回答が過半数を大きく上回り、買い物の予算も前年より増加した国も。中国でも独身の日(11/11)までのセール期間中の取扱高は、中国EC大手のアリババとJDドットコムが共に過去最高の取扱高を更新した。
確かに、サプライチェーンの混乱による消費への悪影響は無視できないが、少し先まで対象を広げれば、「年末戦線、異常無し」という見方もできるだろう。