騰勢強める海運株
昨年TOYO Weekly No.1098における特集で「隠れたバリュー株」と題し海運株を取り挙げてからちょうど1年が経つ。この期間にバルチック海運指数と業種別TOPIX海運業指数はともに約4倍程度の水準に上昇した。
海運株に関し依然として強気な見通しが示されているが、今後をどう観るべきか。
主要海運3社の業績動向
日本郵船(9101)、商船三井(9104)、川崎汽船(9107)の業績動向に共通するのが、3社が共同出資するコンテナ船事業会社「Ocean Network Express(ONE)」の業績回復という追い風だ。背景として、サプライチェーン全体の混乱による各港での滞船等が継続したことで、長期運賃の上昇や短期運賃市況が想定以上に上昇したことが挙げられている。
海運業界を取り巻く環境は次の通り。半導体不足の問題はあれど、自動車船の輸送台数は回復基調が継続。様々な資源をそのまま輸送するばら積み船(ドライバルク輸送)に関しても堅調な推移が見込まれており、海運業界全体としては異例の需要動向と推察できよう。例えば、日本郵船ではコンテナ船のスペース不足で一部の海上貨物が航空貨物へシフトしている。もっとも、原油船に関しては市況の低迷が見られる他、サプライチェーンの正常化に伴うコンテナ需要の落ち着きも予想されている。一概には言えないが、ある程度の運賃ピークアウトのシグナルとも解釈できよう。
バリュエーション面で分かれる見方
(マーケット支援部 山本)