4月に入り、動画配信大手の米ネットフリックスに関連したニュースが複数伝わっている。4/8には、ソニーグループの映画子会社との間で米国における5年間の劇場公開後映画の独占配信契約締結を発表。4/13には、「機動戦士ガンダム」シリーズの実写映画化作品が同社向けに制作されることが発表されたと伝わった。
本稿ではこれらのネットフリックスニュースから読み取れそうな事柄について紹介する。
前述した2つの事例から垣間見えるのは、コンテンツが重要な収益源となり得るということだろう。前者ではネットフリックスの顧客基盤を活用したソニーの販路拡大が、後者では実写映画化によるバンダイナムコのライセンス収入増加が期待される。
この参考事例となり得るのが、昨今社会現象とまでなった人気漫画の「鬼滅の刃」。同作はアニメ放送効果もあって累計発行部数が1億5000万部を突破(1巻当たりの発行部数ではONE PIECEを上回る勢い)。映画化や舞台化もされ、関連玩具も多数展開されている。これらの展開には権利元からライセンシングを受ける必要があるため、まさに権利元である集英社(及び作者)は、同作によりライセンス収入が想定以上に増加したことが推察できよう。
ここで思い出されるのが、世界から「クール(=かっこいい)」と捉えられる或いはその可能性のある日本の魅力と内閣府が定義する「クールジャパン(CJ)」だ。今ではかっこいいと言うよりは冷め切ってしまった感のあるCJだが、コンテンツのフル活用を軸とした戦略へと再定義すれば活路が開けよう。
CJは包括する領域が非常に多岐に渡り、核が定まっていない印象が強い。一方で、コンテンツに関して見れば、世界レベルで通用しているものが実は多いということが分かるだろう。例えばスーパーマリオは2016年のリオ五輪閉会式で当時の安倍首相が扮し、伊ドラギ氏を指し金融業界でも引き合いに出される。ひとまずは日本の誇る様々なコンテンツを産業横断型で世界に展開していくことを目指してもよいだろう。
(マーケット支援部 山本)