値下げプラン相次ぐ
2020年末より、我々の生活において起きた出来事として注目されているものの1つに、国内通信(或いは携帯)キャリアが発表した値下げないし格安プランがあろう。
国内通信キャリアといえば、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクに加え、新規参入の楽天が挙げられるが、格安通信サービスを提供する事業者も存在する。
通信キャリアは生活インフラとも
通信キャリアの重要性は、日常生活におけるスマートフォンの存在感の高さを例に考えてみると、よりわかりやすいかもしれない。
総務省の調べによれば、令和元年9月末時点のインターネット利用者の割合は89.8%と、9割に迫る勢いだ。機器別ではスマートフォンが63.3%とトップであり、既にパソコンに約13%ptの差をつけている。年齢階層別で見ても、13~69歳の、9階層中6階層がスマートフォンを最も利用しているとのこと。世帯別の保有状況で見れば、スマートフォンの保有世帯の割合は83.4%にも及ぶ。
確かに、今やニュースを検索したり、動画・音楽鑑賞をしたり、買い物をしたり、移動経路を調べたりと、様々なことがスマートフォン上でインターネットを介して行われていると言える。そのため、主な回線を提供する通信キャリアは、生活インフラ企業と言っても過言ではないだろう。
通信キャリアをどう見るか
冒頭で述べたように、主要通信キャリアは本業たる移動通信事業で収益源となる携帯料金を値下げする方向性となっており、経営環境はより厳しくなることが見込まれる。このような環境下で通信キャリア株を見通す際に重要な視点の1つが、非通信領域、なかでも生活領域への取組み動向だろう。
例えば、KDDIは「通信とライフデザインの融合」を掲げ、通信以外の領域(例えば金融やコンテンツ、ドローン、教育、エネルギー等)におけるビジネスに取り組んでおり、22.3期にはライフデザイン領域の売上高を1.5兆円に高める目標を掲げている。
NTTドコモも同様に決済・保険・投資やヘルスケアをはじめ生活関連領域への取組みを進めている。また、後発となる楽天も、既存ビジネスでの顧客基盤という観点から考えると、潜在力は相当なものかもしれない。
更に言えば、足もとで徐々に実用化されてきている自動運転車。完全な自動運転の実現には高度な通信インフラが鍵を握り得ることが考えられる。もちろん、通信キャリアのネットワークが全てそのまま使われる訳ではないだろうが、一定の割合は使用される可能性は低くは無いと考えられる。モビリティは人の移動手段であるため、当該領域も生活に含めて、通信キャリアを評価する局面に来ているのだろう。
主な関連銘柄(銘柄略称)
(マーケット支援部 山本)