話題豊富な半導体業界
米AMDによる米ザイリンクス買収、米アナログ・デバイセズによる米マキシム買収、米マーベルによる米インファイ買収、米エヌビディアによる英アーム買収、米インテルによる同社メモリー事業の売却等、足もとで話題が絶えない半導体業界。足もとで進むIoT社会への移行という潮流のなかで、データセンター向けや5G向けの伸びが顕著である。
ただ、半導体には大きく分けてデジタルとアナログの2種類が存在し、冒頭の話題はデジタルに関するものが多い印象。アナログは地味な印象かもしれないが、実は重要なプレイヤーであることを本稿ではお伝えしたい。
アナログ半導体の「いろは」
そもそもアナログ半導体の「アナログ」は、連続したデータを扱うものとされている。そのため、アナログ半導体は電気信号を連続的に処理し、電圧の強弱を柔軟に調整するのに用いられる半導体となっている。
主なアナログ半導体の活用事例として分かりやすいのが、いまやおなじみとなっているスマートフォンだ。タップしてページ上のボタンを押す、スワイプをしてページをめくったり拡大・縮小したりする、端末を傾けて画面を回転させるといった動作は、アナログ半導体だからこそ可能になるもののようだ。
また、自動車で例えると、アナログ半導体無き世界の場合、自動車は一度発進したが最後、猛スピードで進むこととなる。状況に応じて適度に減速したり加速したりすることが困難となる他、急ブレーキをかけなければ止まらないため、人命は常に危険に晒されることとなる。極端な言い方をすれば、アナログ半導体があるからこそ我々は安全な環境下で移動ができている。そんなイメージである。
アナログ半導体こそ重要なワケ
アナログ半導体がなぜIoT社会で重要となるのか。その解は、人間とコンピューターとの関係にある。コンピューター同士はデジタル信号で情報をやり取りするが、それは人間には理解不能だ。人間が普段接する自然界の情報(音や温度等)はアナログであり、アナログ信号とデジタル信号をそれぞれに変換するのはアナログ半導体だからこそできるのである。
足もとでは400億台にも及ぶIoTデバイスが世界中に普及しているとされるが、まだIoT時代の黎明期という状況に鑑みれば、今後更なる増加が予想される。そして、IoTデバイスは必然的に、人間となんらかの接触をせざるを得ないのは明白である。そうした前提に立てば、IoT時代に真価を発揮するのはアナログ半導体であるという帰結が導き出せるだろう。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、日本株では三菱電(6503)、ルネサス(6723)、ソニー(6758)、ローム(6963)、米国株ではアナログデバイセズ(ADI)、テキサスインスツルメンツ(TXN)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)