旅行需要喚起策「Go To トラベル」
宿泊を伴う、または日帰りの国内旅行の代金総額の一部を国が支援する事業が「Go To トラベル」である。このいわゆる観光刺激策に、10/1より東京都が追加され、東京発着の旅行も対象となった。
新型コロナ禍で大きな打撃を受けた旅行産業やその周辺産業を支援することが第一目的でありつつも、感染拡大を抑止することも求められるという、バランスが求められる肝煎り策が本格的に始動した。
「Go To トラベル」はどのくらいお得?
東京発着の旅行が対象となる10/1以降出発のものから、実は支援内容が少し変更されている。従来、7/22以降出発のものは、例えば40,000円の旅行商品を申し込んだ場合に14,000円が給付されるといった具合に、35%の割引が受けられた。
それが、10/1以降出発分ならば、同じく40,000円の旅行商品を申し込んだ場合に14,000円が給付されるのに加えて、6,000円分の地域共通クーポンが付与される。支援額は旅行代金の半分であり、内訳としては2分の1相当額のうち7割が旅行代金割引で、残る3割が地域共通クーポンとなる。実質的に旅行代金の半分程度の負担で旅行ができることとなり、政府による数々の消費刺激策のなかでもかなりお得な部類に入っていることがわかろう。
さらに、東京都民の需要を狙い、地方自治体が独自の「Go To」上乗せ策を施している点にも注目だ。例えば、滋賀県彦根市は宿泊料金が20,000円以上で最大7,500円を割り引く割引クーポンを配布。さらなるお得感を醸成することで、これまで近隣旅行者の囲い込みに主眼を置いてきた自治体は東京都民の旅行意欲に期待を寄せているようだ。
バランスを確保して産業を支援する
新型コロナは依然終息の兆しが見られている訳ではない。確かに国内の1日当たりの新規感染者数は高止まりしているとは言い切れないため、収束しつつある印象を筆者としては感じる。ただし、再拡大の懸念は燻り続けているため、政府が呼び掛けるような「新しい旅のエチケット」の遵守が大切となろう。
ただ、感染拡大抑止に向けた経済活動の制限は思わぬダメージをもたらした。旅行・小売・外食産業はその代表例と思われる。そうした産業は放置されてはならず、なんらかの策をもって支援しなければ、国内景気はコロナが終息したとしても思わぬ袋小路から抜け出せなくなることとなってしまうだろう。
防疫と経済活性化を同じ文脈で語れるか否かを測る試金石たる施策としての「Go To」には要注目だろう。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、オープンドア(3926)、OLC(4661)、楽天(4755)、旅工房(6548)、小田急(9007)、富士急(9010)、JR西日本(9021)、JR東海(9022)、ドーム(9681)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)