「日本を支える中小企業」
総務省の推計によれば、国内全企業約359万社のうち中小企業は約358万社と、全企業の99.7%を占めている。また、従業者数ベースでは国内全企業の全従業者数のうち68.8%を占めるともされ、その存在抜きには日本の産業を語れない。また、世界市場の獲得につながる先端技術を活用しているような企業もある等、その重要性は測り知れないものと言えよう。
一方で、中小企業には特有の課題、或いは新型コロナの影響で浮き彫りとなった問題が山積しているのが現状だ。
中小企業が抱える様々な課題
日本の中小企業が抱えている課題を列挙すれば、次のようになる。
まずは慢性的な人材不足。特に大学生の就職活動においては総合的に大企業の方が有利である点や少子高齢化の影響がある。
次に一人当たり労働生産性の低下。2008年の金融危機以降、回復傾向にあった大企業とは異なり、中小企業は依然として生産性が回復せずにむしろ格差が拡がり続けているという状況にある。
そして、より深刻と思われるのが、後継者不足問題だ。親族経営による候補者不足の他、人材育成や事業継承が適切に行われていないという理由もあるようだが、後継者不在により事業継続ができなくなり廃業や清算を余儀なくされる事例が増加傾向にある様子。一部推計によれば、国内企業の6割強が後継者不在の状態にあるとのこと。
先述の2つの課題に関しては、働き方改革やITを利活用して生産効率を引き上げるという解決方法もある。ただ、こうした事情に鑑みれば、いくつかある中小企業の抱える課題の中でも、後継者不足問題への取り組みが急務であると考えるのが妥当だろう。
後継者不足問題解決のための2つの「M」
後継者不足問題の解決策はいくつかあるが、なかでも注目できると考えられるものを総括すると、2つの「M」となる。
1つ目の「M」は、M&A。買収側企業が事業を引き継ぐため、後継者問題の解決に繋がるのみならず、買収側企業の経営資源が活用されることで、経営状態の改善や更なる成長が可能となる。加えて、会社の売却による創業者利益を享受することができることからも、M&Aによる事業承継を検討する経営者も増加傾向にあるようだ。
2つ目の「M」は、マッチング(Matching)サービス。同サービスでは後継者を探す経営者と事業を引き継ぎたいと考える人を繋ぎ合わせることとなる。経営者にとっては引き継ぐための条件を提示することができるため、自らが希望する後継者を発見できる可能性が高まるというメリットもある。
日本の産業を文字通り支える中小企業が抱える課題の解決に待ったは許されない。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、M&A(2127)、M&Aキャピ(6080)、シグマクシス(6088)、リクルートHD(6098)、ストライク(6196)、ベイカレント(6532)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)