日常の生活の癒しとなろうペット。そのペットを対象としたいわゆるペットビジネスの拡大が続いているようだ。一部試算によれば、ペット関連の国内総市場規模は2017年度には既に1兆5000億円を優に超えており、今後も緩やかな成長が見込まれている。
全体として飼育頭数自体は伸び悩んでいるが、オーガニックフードや健康寿命の延伸を期したプレミアムフード等、ペット向け商品の多様化が市場拡大の牽引役となっているとのことだ。
昨今、我々の世界で急速に進む〇〇×テクノロジーの波は、ペット界においても例外ではなさそう。いわゆる「ペットテック」に関しては、ペットの活動を飼い主に配信する首輪型デバイス、餌の量を遠隔調整可能な自動給餌機、獣医と飼い主がペットの健康状態を共有して治療プランを提供するソフトウェアといったように、多種多様なテクノロジーを活用したサービスが登場し始めている様子。
海外発のスタートアップの事例を見ると、ペットフードや小物等商品を販売するスタートアップの平均資金調達額は1300万ドルに留まる一方で、デジタル獣医サービスやペットシッターマッチングサービスといったようなペット関連サービスを提供するスタートアップのそれは、5000万ドル程度と、約4倍に匹敵する規模に上るようだ。これだけを見ても、テクノロジー化の進展著しい社会において、我々人間に迫っている波がペットに対しても同様に押し寄せているのではないか、という仮説の証左と言うことができるのではないだろうか。
ペットテックを巡っては、米国が主導権を握っているように見えるが、その土台となるペット市場については、アジアが成長を牽引しそうだ。その背景としては、都市への急速な人口集中や増加するツーリズム、新興国でインターネットの普及が急速に進んでいること等が考えられよう。
ちなみに、中国のペットビジネスは米国を上回る勢いで成長することが見込まれている他、日本では技術進歩やペットに対する健康意識の高まりによって緩やかに成長するとされている。
家族の一員としての存在感が大きくなっているペット。その市場拡大は当然だろう。
主な関連銘柄としては、フィード・ワン(2060)、動物高医(6039)、アイペット(7323)、ユニチャーム(8113)、アニコムHD(8715)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)