身近になりつつあるブロックチェーン
取引記録から生成されたブロックが時系列に沿って繋がっていくデータ構造を有し、改ざんは事実上困難とされる「ブロックチェーン」。もともとは暗号資産を支える技術として脚光を浴びていたが、足もとでは我々の身近な生活領域での重要な技術として定着しつつあるような印象が感じ取れる。
多分野での応用が進んでいる
足もとでブロックチェーンは、高い透明性や信頼性をインターネット上で確保できるという利点により、大規模なビジネス用途に加え、多様な用途への応用が見込まれる。例えば、決済にはじまり証券取引、海外送金、サプライチェーン、電子商取引、データ保管、投票、医療、資産管理、資金調達、ポイント、シェアリング、SNSのコミュニケーション、ゲームにおけるコンテンツ等といった具合に、非常に幅広い領域のサービスで活用が期待されているようだ。
例えば、決済。国内では長らくキャッシュレス決済総合プラットフォーム「CAFIS」を手掛けるNTTデータの独擅場とも言えるような状況になっているが、その成否見込みはともかくとして、ブロックチェーン技術を活用して新風を吹き込もうという動きが散見される。GMOペイメントゲートウェイと三井住友カードが共同構築する次世代決済プラットフォーム「stera」や、SBIホールディングスとSBIリップルアジアが取りまとめた「内外為替一元化コンソーシアム」の試みといった具合だ。
また、スマートフォンやブロックチェーンを使った高速且つ手数料が安い送金が大きく伸び、既存の銀行等を経由した送金を追い抜きそうな勢いを示しているという事例も見受けられる。
知財管理分野にもブロックチェーンが浸透
2/4、JASRAC(日本音楽著作権協会)は音楽著作権の管理業務にブロックチェーンを活用する実証実験を2/17-3/13に行う旨を発表したと伝わっている。同実証実験では、音楽出版社がJASRACに作品届を提出する前段階の作業をテーマにし、音楽出版社等が「自身が創作した楽曲である」旨の記録を作成し、「デジタルコンテンツのハッシュ値」「創作者のID」「時刻証明情報」を作品ごとにセットにして記録するとのこと。ちなみに、同実証実験に係る主なシステムはソニーが構築する模様。
現状では作品データベースの管理そのものを置き換えることは現実的ではないとのことだが、ノウハウが蓄積されれば、知財の効率的な管理・運用にはブロックチェーンが欠かせなくなるだろう。「ブロックチェーンの行進」は止まらないのではないだろうか。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、GMOPG(3769)、NRI(4307)、Dガレージ(4819)、ソニー(6758)、GMO(9449)、NTTデータ(9613)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)