大型経済対策が閣議決定
12/5、「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」と題した経済対策が閣議決定された。
政府が経済対策を打ち出すのは2016年8月以来約3年ぶり。同経済対策は総額で財政支出13.2兆円、事業規模26兆円に上るものであり、いずれも前回に匹敵する規模となる。
ちなみに、現時点では、実質GDPを1.4%程度押し上げる効果が見込まれているようだ。
同経済対策における「三本の矢」
今回の経済対策においては、大きく分けて3つの項目が設定されている。①災害からの復旧・復興と安全・安心の確保、②経済の下振れリスクを乗り越えようとする者への重点支援、③未来への投資と東京オリンピック・パラリンピック後も見据えた経済活力の維持・向上である。項目別の財政支出・事業規模では、それぞれ①が5.8兆円・7兆円、②が3.1兆円・7.3兆円、③が4.3兆円・11.7兆円程度となっており、財政支出ベースでは復旧・復興領域に重点を置き、事業規模ベースではポスト東京オリンピック・パラリンピックを見据えた領域が最大のものとなる見込み。
また、それぞれの項目毎の主な取組みとしては、次のようなものがある。①に関しては「自然災害からの復旧・復興の加速」や「防災・減災、国土強靭化の強力な推進」、②に関しては「中小企業・小規模事業者の生産性向上のための環境整備」や「農林水産業の成長産業化と輸出力強化の加速」、「地方創生の推進強化」、③に関しては「Society5.0やSDGsの実現に向けたイノベーションと社会実装の促進等」や「外国人観光客6000万人時代を見据えた基盤整備」、「切れ目のない個人消費の下支え」といった具合だ。なかでも③においては、ゲノム医療、5G、AI、EdTech(教育×テクノロジーを組み合わせた造語)、キャッシュレスというキーワードが散見される。
日本経済の本格的な回復へ
今回の大型経済対策策定の背景には、国内景気は内需を中心に緩やかな回復基調にある一方で、より一層の注意が必要とされている海外発のリスクの顕在化によって、外需のみならず設備投資や個人消費といった内需が下押しされることがないよう、予め万全の対応が必要な状況になっているという認識がある模様。
政府としては同経済対策によって、「当面の需要喚起にとどまらず、東京オリンピック・パラリンピック競技大会後も経済成長が持続可能であるという展望を切り拓く」意向のようで、日本経済の持続的な成長に向けた決意が伝わってくる。
「失われた30年」を経て、日本の底力が世界的に認められるか否かの分水嶺となろう。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、ダイセキソリュ(1712)、東鉄工(1835)、協エクシオ(1951)、M&A(2127)、すららNT(3998)、中外薬(4519)、エンビプロH(5698)、ソニー(6758)、学研HD(9470)、NTTデータ(9613)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)