ゲーミフィケーションとは
2010年頃に登場したとされる「ゲーミフィケーション」。マーケティング手法の一種で、ゲームが本来の目的ではないサービスにゲーム的要素を組み込むことで、ユーザーのモチベーションやロイヤリティを高めることが定義とされる。一言で言えば、ゲーム的要素の無いものにゲーム的要素を加えることであり、これをビジネスに活用しようという動きが足もとで再度盛り上がってきている印象だ。
拡がるゲーミフィケーション
ゲーミフィケーションでは、①課題の付与(クエストやランキング等)、②報酬(経験値やポイント等)、③交流(対戦やチャット、SNS連携等)が重要なポイントとされる。それらをうまく活用し、「嫌なこと」を「楽しいこと」に転換しているというのが、ゲーミフィケーションをビジネスに活用している事例の最大の共通点のようだ。
実際の活用事例としては例えば、恋愛ゲーム的なアプローチを取り入れたダイエットアプリや、観光地巡りやスタンプラリー、スポーツ観戦回数等のクエストをユーザーに提供して販促効果を向上させるユーザー参加型サービス、店舗の利用や口コミ投稿等によってショッピングに利用できるポイントやクーポン券等が獲得できるサービス、すごろくのようなゲームを導入し期間内の順位に応じてショッピングに利用できるポイントが獲得できるサービス等がある。
さらに重要なのは、いずれもゲーム化することが目的ではないということだ。あくまでもゲーム的要素を組み入れることに留まるのであって、それにより消費者等にインセンティブを提示することを通じて、自社製品・サービスに対する訴求力を高め、マーケティング機能を強化することが目的だと考えられる。
ヘルスケア領域でのエビデンス確立へ
一方で近年、ゲーミフィケーションの新たな活用先として注目されつつあるのが、ヘルスケア領域だ。ヘルスケアにある「頭ではわかっているのに始められない」「始めたものの続かない」という行動変容や継続といった障壁をゲームの要素を取り込むことで乗り越えようというものだが、主な取組みとしては右の図表を御参照頂きたい。
典型的な例が、世界的な人気を博したスマートフォンアプリ「ポケモンGO」だろう。同作はAR(拡張現実)技術を応用し、現実世界を歩き回ることでアプリ空間上のポケモンを捕まえ、或いは他のプレイヤーと対戦させるという遊びのスタイルを提案。普段外を出歩くという習慣が無い人の行動パターンを変容させた。
普段、何気なく行っているか最近始めた習慣ないし行動。それらはゲーミフィケーションによって誘われたのかもしれない。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、日本株ではカヤック(3904)、アステラス薬(4503)、塩野義(4507)、大塚HD(4578)、バンナムHD(7832)、米国株ではナイキB(NKE)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)