「独身の日」が過去最高の盛り上がり
11/11は、中国では「独身の日」とされ、「双11(ダブルイレブン)」と呼ばれる。この日は年間最大のネット通販セールが行われ、「最もモノが売れる1日」として知られる。その規模たるや膨大で、日本のEC市場で取扱高トップクラスの楽天の年間国内EC流通総額をたった1日で上回る取引が行われるとのこと。
今年は、中国ネット通販最大手のアリババ集団がセール開始からわずか1分で取扱高100億元(約1500億円)を突破。1日の取扱高は、2684億元(約4兆1000億円)を記録し、過去最高の盛り上がりを見せたようだ。
「爆買い」のインパクト
この「盛り上がり」は、中国国内に限った話ではないようだ。シンガポールのネット通販大手やタイの小売最大手といった海外の企業が多く参加した他、ロシアやアルゼンチン等の外国人ユーザーも参加し、中国を含めた参加ユーザーは5億人に達した様子。
また、独身の日の盛り上げを期し、クーポン設定やプレゼントキャンペーンも行われているわけだが、こうした取り組みが逆手にとられて返品されることもあるようだ。一部試算によれば、販売された商品の約60%が返品されているという。
膨大なEC取引を陰で支える「AI」
光と陰のある「独身の日」ではあるが、膨大なEC取引の源泉となっていることは否めないだろう。この巨大なECプラットフォームを陰で支えているのが「AI(人工知能)」だ。
アリババのECプラットフォームを支えるシステムとしては、例えば、バナーやポスター等を自動的に作成するAIデザイナー「鹿班(ルーバン)」、データセンターの運用監視作業を自動化するロボット「天巡(ティエンシュン)」、顧客からの問い合わせに対応するチャットボット「雲小蜜(ユンシャオミ)等が挙げられている。なかでもAIデザイナー「鹿班」は、2017年の独身の日に、1秒間に最大8000件のポスターを自動生成し、当日のみでも4.1億件のポスターを作ったとされる。
AIの活用策として、中国での活用事例を参考にするのも得策かもしれない。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、日本株では博展(2173)、ALBERT(3906)、インフォネット(4444)、サイバエージ(4751)、米国株ではアマゾン(AMZN)、アリババ ADR(BABA)、マイクロソフト(MSFT)、中国株ではテンセント(00700)、科大訊飛(002230)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)