人口爆発の裏で
今、増加を続ける世界人口の裏で、持続可能性が疑問視されている資源がある。それは「水(Water)」だ。国土交通省によれば、2000年から2050年までの間に、世界の水需要が全体で55%増加。世界人口の40%以上の39億人が深刻な水不足に見舞われる可能性があるとのことだ。
実は貴重で重要な「水」
地球は水の惑星とも言われる。陸地の表面積と海洋の表面積は3:7と圧倒的な差があるが、水は、海水が98%を占める。実は陸上生物が利用できる水は全体の0.01%未満と言われている。
また、水不足は食糧不足にも直結し得る。穀物を1kg生産するのに要する水は1t以上というように、小麦等の穀物栽培には膨大な量の水が必要なようだ。人口増加による食糧需要増加に対応すべく、農地にしていなかった乾燥地帯で灌漑農業を行ったことが、水不足に拍車をかけている模様。黄河やアラル海の干上がりの原因とされている。
そして水不足に起因する憂慮すべき事態が、水を巡る国家間衝突ないし紛争だ。既に米墨がリオグランデ川を、印パがインダス川を巡って争っており、今後はエジプト・エチオピア等がナイル川を、インド・ネパール等がガンジス川を巡って争うのでは、と一部で懸念されているようだ。
進む水不足対策
こうした事態を受け、世界的に対策が進んできている様子。そのわかりやすい例が、家庭や工場等から出て下水処理場で処理した水を海や川へ放流せずにさらに高度な処理をして「再生水」として街等に循環させるという、水の再利用だ。
水の再利用は飲料用水の確保や水質汚濁の低減を目的としており、水資源としては、テクノロジーの確立によって水供給の信頼性が向上したことで、経済的にもかなり魅力的なものとなっているとのこと。また、米国では都市排水の6%が再利用され、年間15%増加しているとのデータもある模様。一部予測によれば、水再生利用に取り組む国・地域では世界人口の66%にあたる人々が水不足に陥ると予想される2025年になっても水不足はないとのこと。水の再利用は成長市場であるとの声も挙がる。
生命活動に必須な水に関わるビジネスは、長期的なビジネス機会として注目できそうだ。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、東レ(3402)、クボタ(6326)、荏原(6361)、栗田工(6370)、メタウォーター(9551)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)