新たな潮流、「CASE」
産業の羅針盤とも言われる自動車産業に新たな潮流が生まれている。その名も「CASE」。Connected(コネクテッド)・Autonomous(自動運転)・Shared&Services(シェア&サービス)・Electric(電動化)の頭文字を組み合わせたもので、変革の時代を迎えている自動車産業の動向を象徴するキーワードであり、自動車の物理的変化とともに異業種を交えたモビリティサービスの重要性を示唆するものとされている。
CASEが取り払う業界の垣根
CASEという潮流の本格化の中で顕著なのが、異業種の存在感の高まりや関連企業の合従連衡だ。
自動運転やその関連分野に取り組む企業としては、日本勢ではDeNAやNEC、ゼンリン、ヤマト、米国勢ではグーグルやアップル、アマゾン、エヌビディア、クアルコム、AT&T、中国勢ではアリババやバイドゥ、滴滴出行、JDドットコムといったように、既存の自動車メーカー以外の異業種の存在感が大きいように見受けられる。
また、ホンダと米GMの協業や独VWと米フォードの提携、ソフトバンクとトヨタによる共同出資会社の設立、トヨタとパナソニックによる合弁会社設立といったように、同業・異業種問わず、提携や協業等の動きが相次いでいる。
このように、従来は系列化、ないしは垂直統合型としての側面が強かった日本の自動車産業でさえ、もはやその体制を完全には維持できず、次第に水平分業型へシフトし、業界の垣根を超える必要性が出てきているのである。
CASEの先に待っているのは?
CASEという潮流のその先に何が待っているのだろうか。ヒントはCASEの意味にある。先述したが、CASEは自動車の変化やモビリティサービスの重要性を示唆するとされる。そこから読み取れるのは、移動そのものがサービスとして提供されるという未来だろう。
それはまさに、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を1つのサービスとして捉えたMaaS(Mobility as a Service)のことを指しているのではないか。
生命活動で必須の「移動」が先端技術と組み合わさることで大きな構造変化が起こる。今後何が起こるのか、注視していきたいものだ。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、日本株ではDMP(3652)、ルネサス(6723)、デンソー(6902)、米国株ではアマゾン(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)、クアルコム(QCOM)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)