記事でよく見かける株主優待
マネー雑誌のみならず、一般メディアでも株主優待に関する記事をよく見かける。確かに株主優待がきっかけで、投資を始めるというケースも多いようだ(右表を参照)。それらの記事では、たいていの場合、幾つかの具体的銘柄について優待内容、権利確定月、最低投資額などが列挙されている。そして、これらの情報をもとに、投資銘柄を検討していくという記事内容が続くことが多い。
しかし、実際に投資銘柄を選ぼうとすると、まず検討すべきは、優待利用の「目的の区別」なのではないか。というのは、優待利用「目的」は大きく分けて、①家計支出の節約目的と、②プチ(少しの)贅沢目的、の2通りに分類され、どちらの目的で投資するのかによって、銘柄の選び方が全く異なってしまう、と考えられるからである。にもかかわらず、こうした投資実態に即した「投資家本位」のアドバイス記事には、なかなかお目にかかれない。
そこで、当コラムでは優待利用「目的」別に銘柄の選び方を、何回かにわたって考えていきたい。
家計支出の節約目的
まず「家計支出の節約目的」とは、近い将来予定されている家計支出の一部を優待利用によって賄う、というものである。「家計支出をいくら(何円)節約できた」とダイレクトに実感できるという訳だ。「優待名人」として著名な方の投資のケースでは大半が、こちらの目的に区分されると思われる。
各種の株主優待人気銘柄ランキング上位の代表例では、「イオン」(8267)が挙がっている。
少しの(プチ)贅沢目的
次に「プチ(少しの)贅沢目的」とは、日常的には家計支出しない製品やサービスを優待利用によって享受する、というものである。「自分では買わないがプレゼントされたら喜ぶ」という訳だ。
そもそも株主優待とは、「企業が株主に対して配当金の他に自社製品やサービスを無料でプレゼントする制度」(日本取引所グループ用語集より)なのである。こちらの人気銘柄ランキング上位の代表例は、「オリックス」(8591)が挙がっている。
次回は「イオン」をはじめとする「家計支出の節約」目的の銘柄の事例を紹介したい。
(投資調査部 川添)