6/17∼21の中国株式市場は不安定な動きになると見込む。
中国株式市場は地政学的リスクの影響もあり、利食い売りに押されている。6/6∼9に行われた欧州議会選挙では保護主義的な極右政党が躍進し、中道右派が第1会派を維持した。また、6/7にオランダ国防省は、東シナ海を航行中の同国艦船に対し中国が威嚇行為を行ったとの声明を発表。6/12にはEUが中国製EVに対し最大38.1%の追加関税を課すと発表した。一方、米国では中国系企業からのバッテリー政府調達を禁止する法案が下院に提出された。またバイデン政権は中国によるAI半導体技術へのアクセスに対し規制強化を検討している。中国と欧米との緊張は高まっている。
ただ、中国景気は持ち直しつつある。6/7に発表の5月輸出は前年同月比+7.6%(4月同+1.5%)と、新興国向け中心に伸び率が高まり、週次の新築住宅販売床面積は足もとで回復傾向にある。6/12に発表の生産者物価は同-1.4%と、マイナス幅が大幅に縮小、デフレは後退している。
6/17には5月の主要経済指標が発表予定。景気の緩やかな持ち直しを示すと見込む。ただし、株式市場のセンチメントが芳しくないため、良い数値が出たとしても市場が評価しないことも考えられる。政府は更なる不動産対策を打ち出す可能性もあり、住宅販売の持ち直しが一段と顕在化すれば株式市場センチメントは改善しよう。
(6/12記 投資情報部 白岩)