6/10は香港市場、本土市場共に端午節で休場。6/11∼14の中国株式市場は堅調に推移すると見込む。
5/31に発表された5月購買担当者景気指数(PMI)は、製造業、非製造業共に4月実績を下回り、景気回復が順調に進んでいないことを示した。しかし、5/17に発表された新築住宅取引規制の緩和や住宅ローン金利下限の撤廃等を受け、各地で住宅展示場に人が戻り、6月に入っても新築住宅販売や住宅在庫(売れ残り住宅)の販売も好調に推移しているようだ。主要不動産会社100社の5月新築住宅販売金額は前年同月比-33.6%ながら、4月の同-44.9%から減少幅が縮小。前月比では増加へ転じた。住宅販売の不振が景気下押し圧力となっていたことから、今後は景気持ち直しが他業種にも広がると期待される。ただ、不動産関連株は4月の安値から2倍近く上昇したため、利食い売りに押された。
6/12に発表予定の5月物価指標は、引き続きデフレ懸念の後退を示そう。また、6/17に発表予定の5月主要経済指標は景気持ち直しを示唆すると予想。5月末に発表の5月PMIは同月後半の景気状況を十分反映していないとみられ、5月の経済指標はPMIが示したよりも良好な結果になろう。また、メキシコやインドの選挙結果を受け両国株式市場が失望売りを浴びており、一部投資資金が中国に戻る可能性がある。6/11の週の中国株式市場は経済指標発表前に景気持ち直し等を織り込みに行く展開を見込む。
(6/5記 投資情報部 白岩
【紹介銘柄】
安踏体育用品(香港・02020/Z4649)
◆中国のスポーツ用品最大手。中国市場シェアで第2位(22年)。専門店舗数は、「安踏(ANTA)」が9831店、「FILA」が1972店等。国際オリンピック委員会(IOC)の公式サプライヤー(27年まで)
◆23年12月期は前年比16.2%増収、同34.9%増益。ブランド別では「安踏」(全体の48.6%)が同9.3%増収、「FILA」(同40.3%)が同16.6%増収と堅調。粗利益率が比較的高いDTCモデル(製造から販売までを自社で行う)の比率上昇
◆同社は「アウトドア」「キッズ」「女性」の三本柱に注力。女性向け事業では、昨年10月に中国のヨガウェアブランド「MAIA ACTIVE」(「中国版ルルレモン(lululemon)」)買収を発表。比較的手ごろな値段と、「映え」でSNSプロモーションに強み
(参考)市場シェア拡大と在庫調整の一巡で利益率改善
◆中国のスポーツウェア市場は右肩上がりで拡大中。24年は前年比10.1%増の5425億元が見込まれる。
◆市場では長らくナイキとアディダスの「2強時代」が続いたが、近年は「国潮(グオチャオ)」ブーム等を背景に中国ブランドが躍進、23年は安踏が首位になった可能性も。安踏は「FILA」の在庫一掃もあり、利益率が改善へ
(上海駐在員事務所 奥山)