6/3∼7の中国株式市場はもみ合いの展開を予想する。
足もとで好悪材料が混在する。5/22にテンセントがクラウドの大規模言語モデルのサービスを大幅値下げすると発表すると、競争激化が危惧されIT関連株が下落、中国株式市場全体に広がった。もっとも株価の上昇ピッチが速かったこともあり、利食い売りの一環とみられる。5/27に発表された4月工業部門企業利益は前年同月比+4.0%と、3月の同-3.5%からプラス転換。また、鉱工業部門の完成品在庫評価額は同+3.1%と、昨年9月以来の高い伸びとなり、遅れながらも在庫積み増し期に入ったとみられる。更に、銀行や国有企業から計3,440億元の資金を集め、中国最大の半導体基金が発足したと報じられ、半導体関連株が買われた。
5/31に発表予定の5月購買担当者景気指数(PMI)は政府による住宅対策の効果が含まれないとみられ、大幅な改善は期待できないだろう。6/3からの中国株式市場は中国景気の方向感を探りつつ、もみ合いの展開になると予想する。
ただし、新築住宅販売も徐々に持ち直すとみられる。また、在庫調整が終われば工場出荷価格も上昇し企業業績も改善しよう。更には7月には三中全会(第3回党中央委員会全体会議)が開催され、不動産問題や若者の雇用問題等の対策が期待される。会議が近づくにつれ、中国株式市場は再び上昇基調に戻ると考える。
(5/29記 投資情報部 白岩)
【紹介銘柄】
小米集団(香港・01810/Z8852)
◆中国のスマホ大手。スマート家電などIoT・ライフスタイル製品、インターネットサービス及び電気自動車(EV)も手掛けている
◆24年1∼3月期(1Q)の売上高は前年同期比27.0%増、粗利益率は同2.8pt上昇の22.3%に改善、一時的な損益などを除くNon-IFRSベースの調整後純利益は同100.8%増と、市場予想を上回った
◆24年1∼3月期(1Q)、スマホは前年同期比32.9%増収の465億元と急回復。出荷台数ベースの世界市場シェアは同2.4pt上昇の13.8%に上った。中国では「Xiaomi14」シリーズが大人気を博し、ハイエンドスマホの国内シェアが大きく上昇。同社第1弾のEV「SU7」シリーズは3月28日の発売から4月末までに8万8063台を受注し、5月15日には納車台数が累計1万台に
(参考)EVの生産能力拡大に注力、24年の年間納車台数12万台を目標
◆EVの好調な受注を受け、6月から工場を2交代制の稼働に切り替えて生産能力を高める計画(6月の納車台数は1万台を超える見込み)
◆24年1∼3月期(1Q)の決算説明会で、同社幹部が「24年の年間納車台数12万台を目指す」と述べた。EV事業の粗利益率はまだ低い水準だが、生産規模が拡大するほど改善する可能性が高いようだ。EV事業の売上高と粗利益は24年4∼6月期(2Q)決算から開示する見通し
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)