5/27∼31の中国株式市場は売りに押されながらも上昇基調を維持すると考える。
5/17に発表の4月主要経済指標は、鉱工業生産指数は前年同月比+6.7%と伸び率が高まったものの、全体としては冴えなかった。懸念されている新築住宅販売床面積は5,565万㎡と、09年2月以来の低い水準となり、主要70都市の新築住宅価格は前月比▲0.58%と、マイナス幅を広げた。また、小売売上高は前年同月比+2.3%と、22年12月以来の低い伸びに留まった。資産デフレも影響したとみられ、消費者の消費意欲が低迷しているようだ。
しかし、政府は同日、地方政府による新築住宅在庫の買い取り、住宅ローン金利下限の撤廃、住宅ローン頭金比率の引き下げ等の不動産対策を発表。これを受け、翌日以降、モデルルームには新築住宅の購入希望者が戻ったようだ。
香港株式市場は上昇が続いたこともあり、足元で利食い売りが出始めている。ただし、新築住宅販売は政府の支援策で改善の兆しが出ている。また、株価の上昇もあり、今後、負の資産効果が弱まることで消費が改善しよう。更には4/26に発表の自動車の買い替え補助金や、一部地方都市で実施が始まった家電の買い替え補助金等も寄与してこよう。5/31に発表予定の5月購買担当者景気指数(PMI)では、不動産対策の効果が見られないであろうが、景気は今後、持ち直し傾向を強めると見込まれ、中国株式市場もそれを好感しよう。
(5/22記 投資情報部 白岩)
【紹介銘柄】
トリップドットコム・グループ (香港:09961/Z9047)
◆中国最大の旅行予約サイト。各種交通チケットやホテル等の予約を手がける。「携程(Ctrip)」「去哪児(Qunar=チューナー)」「Trip.com」等で事業展開。総ユーザー数は推定4億人超
◆23年12月期は前年比122.0%増収606.9%増益。ゼロコロナ政策の終了と移動・旅行ニーズの回復が追い風。部門別では、「交通チケット予約」が同123.5%増収、「ホテル予約」が同133.2%増収など。24年1∼3月は29.4%増収27.8%増益と好調継続
◆24年に中国の観光業(国内+海外)が完全回復見通し。中国旅游研究院は24年の国内旅行者数が19年とほぼ同じ60億人超まで回復すると予想。観光市場の復活は事業の大きな後押し材料になりそう
(参考)観光業の回復で収益改善が継続
◆コロナ後消費で国内外の旅行が復活。23年の国内旅行者数は前年比+93%の約49億人。19年の8割強まで回復した。収入増に伴い利益率(EBITDAマージン)も改善
◆中国民用航空局は今年末に国際線が19年比約8割(今年1月時点で6割)まで回復すると見込む。海外旅行の拡大も期待
(上海駐在員事務所 奥山)