◆24年後半は景気と株式市場の回復を予想
1月に予定される台湾総統選挙では中国と対立する与党・民進党がリードしていることもあり、中国株式市場は春節(2/10~17)までは不安定な動きを継続しよう。ただし、その後は中国の景気持ち直しや米国の利下げ期待等を背景に、株価は上昇しよう。また、政府の施策で新築住宅購入負担が低下し、年央にも住宅販売の持ち直しが見込まれる。中国最大のリスクである新築住宅販売が持ち直せば、投資家に安心感が広がり株価が大幅に反発することも考えられる。その後は、11月の米大統領選挙が近づくにつれ、米中摩擦の過熱が懸念され市場は神経質な動きになるとみられる。24年の株式市場はボラティリティの高い展開が継続しよう。
このような中、中国株式市場は政府の施策(後述)に沿った銘柄が物色されよう。AI、システム投資関連、パリオリンピックを控えスポーツ関連等が注目される。
◆GDP成長率は1Qを底に持ち直しへ
23年1~3月は新型コロナの感染急拡大後にコト消費が拡大し、同期間のGDP成長率は急回復した。このため、24年1~3月は前年比効果で成長率が前年同期比+4%強へ減速すると見込まれる(23年通年の成長率は+5.4%を予想)。ただ、その後は23年の景気下押し要因であった新築住宅販売の持ち直しや輸出の回復が見込まれ、中国は安定成長に戻ると考える。通年では+4.5%の成長を予想。新築住宅販売の大幅な反発が期待できず土地使用権販売収入の低迷が見込まれるため、大規模な景気刺激策は打てないと考える。
24年の政策方針を決定する中央経済工作会議で、習政権は最重要政策として「科学技術の刷新による産業体系の現代化」を掲げ、デジタル経済、AI、バイオ等を推進する姿勢を見せた。また、国内需要の拡大としては、デジタル消費、グリーン消費、健康消費の発展を目指すようだ。
(12/20記 投資情報部 白岩)
【紹介銘柄】
中国移動(チャイナ・モバイル)(香港・00941/Z2839)
◆23年10月末時点のモバイル契約数は9.9億件(そのうち、5G契約数は7.6億件)、有線ブロードバンド契約数は3.0億件
◆23年1~9月期は前年同期比7.2%増収、同7.1%増益。個人向けと家庭向けのARPU(1契約当たりの月間平均収入)は各々前年同期比1.0%増、同2.4%増と緩やかに上昇
◆23年上期、モバイル・クラウド(前年同期比80.5%増)の急拡大などで、DX関連収入は同19.6%増加し、通信サービス収入に占める割合は同3.7pt上昇の29.3%に上った。デジタル経済の発展や5Gの普及などに伴い、同社DX事業の成長ポテンシャルは高いと見込まれる。また、23年の配当性向を70%以上へ引き上げる方針
(投資情報部 呉)
浙江三花智能控制(ジェイジアン・サンファ・インテリジェント・コントロールズ)(深センA・002050/Z8971)
◆電子膨張弁、四方逆転弁、電磁弁やマイクロチャンネル熱交換器などの製品は世界首位の市場シェアを握る
◆23年1~9月期の売上高は前年同期比21.6%増、純利益は同32.7%増、一時的な損益を除く純利益は同26.9%増と好調
◆23年上期、新エネ車向けを中心とする自動車部品事業の売上高は前年同期比50.8%増加し、同事業の粗利益率も同0.4pt上昇の25.7%に改善。また、蓄電分野に注力するテスラや寧徳時代新能源科技(CATL)などとは業務提携を行っている。今後、蓄電市場の急拡大に伴い、同事業の売上寄与が大きく向上する見込み。人型ロボット分野での布石も積極的に打っている
(投資情報部 呉)