12/18~22の中国株式市場は個別物色の展開を見込む。
12/11~12に開催された中央経済工作会議では、来年の政策方針が決定された。指導部は中国が需要不足と認め、積極的財政政策と安定的金融政策の継続方針を示した。ただし、財政規律を厳格化するとし、巨額の景気刺激策は期待できないようだ。一方、最重要政策は科学技術の刷新による産業の現代化を掲げ、デジタル経済、AI、バイオ、宇宙ビジネス等の支援を一段と強化する姿勢を見せた。需要拡大については、インテリジェント住宅、旅行、体育等の消費等を重視。また、不動産や地方債務のリスクを取り除く方針等が示された。来年の経済成長率は4%台半ばへ減速を見込むが、政府の支援を受け戦略産業は躍進するとみられる。
来年の政策方針は株式市場全体の支えにはならないかもしれないが、ハンセン指数や深セン成分指数は1月の高値から各々2割以上下落していることもあり、割安感から買いが入りつつあるようだ。特に、ハイテク企業が多く上場する深セン市場は、政府が科学技術を支援するとみられるため、12月に入ってからは科大訊飛(002230、AI)などが上昇。香港では健全な財務体質を持つ香港不動産等が買われている。12/18の週の中国株市場は、全体としては方向感のない展開が継続するとみられるが、政策支援が期待できるハイテク関連は引き続き堅調に推移すると見込まれる。
(12/13記 投資情報部 白岩)
【紹介銘柄】
舜宇光学科技(サニー・オプティカル・テクノロジー)(香港・02382/Z4632)
◆携帯電話用カメラモジュールのリーディングカンパニー。車載用レンズ分野では、世界首位のシェアを誇る
◆23年上期は前年同期比15.9%減収、同67.8%減益。製品価格下落やドル建て債務の人民元安による為替差損などが響いた
◆上期、車載関連製品の売上高は前年同期比43.3%増と好調(売上構成比は同7.1pt上昇の17.3%)。レンズなど車載光学部品事業は中長期的に、拡大基調が続くと予想。また、携帯用レンズとカメラモジュールは7~11月の出荷量が各々同17.6%増、同39.1%増と回復基調。同社主要顧客、華為技術(ファーウェイ)の携帯新機種向けの出荷拡大で、増収のほか、粗利益率の上昇にもつながろう
(投資情報部 呉)
百度集団(バイドゥ)(香港・09888/Z9041)
◆クラウドサービスや自動運転など幅広い事業を手掛けている。自動運転の特許出願件数では世界最多を誇る
◆23年3Q(7~9月期)の業績は市場予想を上回った。売上高は前年同期比5.9%増、一時的な損益などを除くNon-GAAPベースの調整済み純利益は同23.4%増、純損益は前年同期1.5億元の赤字から66.8億元に黒字転換
◆10月に、最新版の大規模言語モデル「文心大模型4.0」を発表。中国でAI分野をリードし、生成AIとその基盤技術である大規模言語モデルで競争優位に立っている。今後「文心大模型」エコシステムの形成と生成AI技術の進化は、新たな商機を広げていく見込み
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)