11/20~24の中国株式市場は底値固めの展開を見込む。
11/15に発表された10月の主要経済指標は、まちまちの結果。9/29~10/6の国慶節に旅行者が昨年の1.7倍へ拡大したこともあり、小売売上高は前年同月比7.6%増(9月同5.5%増)と伸びが高まった。また、GDPとの相関が高い鉱工業生産は同4.6%増と堅調。ただし、固定資産投資は不動産投資やインフラ投資が不振だったため同1.2%増に留まった。電子商取引(EC)による「独身の日」セール期間(11/11までの数週間)のネット販売は、EC各社が販促を強化したとみられるものの、前年比2.1%増と緩やかな伸びに留まった模様。中国景気は底打ちしたものの、持ち直しのペースは緩慢なようだ。
11/15には約1年ぶりの米中首脳会談が開催。両国は関係改善に努め、国防当局間のハイレベル対話の再開や人工知能(AI)に関する政府間協議の開始等で合意に達した。
中国株式市場は、11/15に米金利低下や米中関係改善に対する期待等を背景に香港市場が大幅高。同日引け後にはテンセント(00700)が好決算を発表し、米国の同社ADRは前日比5.2%上昇した。11/20は小米(01810)、11/21には百度(09888)等のハイテク企業が決算を発表予定。ただ、景気持ち直しの足取りが鈍い中、株価は目先、底値固めの展開に終始しよう。
(11/16朝記 投資情報部 白岩)
【紹介銘柄】
南京埃斯頓自動化(エストン・オートメーション)(深センA・002747/Z9024)
◆中国の産業用ロボット市場では外資系がシェア約6割を占める中、同社は22年に6位、23年上半期にはファナックに次ぐ第2位へ
◆23年7~9月期は前年同期比11.0%増収、同2.5%減益。同社は「海外子会社の納品遅れ」と説明し、10~12月期には出荷が大きく伸びるとしている。23年出荷は前年比約47%増の2万5000台を目指す
◆中国のロボット市場が拡大し、23年通年の販売台数は前年比約12%増加する見通し。政府は25年にロボット密度(製造業の労働者人口1万人当たりの産業用ロボット導入台数)を20年比倍増させる政策を推進。また、市場全体では国産化率が同7.7pt上昇の43.7%に上り、同社は「中国メーカー推し」の恩恵を大きく受けよう
(上海駐在員事務所 奥山)
内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリー・インダストリアル)(上海A・600887/ Z8454)
◆9年連続でアジア乳業メーカートップ(売上高ベース、22年)
◆23年7~9月期は前年同期比2.7%増収、同59.4%増益。公正価値の収益拡大などが奏功。液状乳製品の販売額は同8.5%増で、上期の同1.1%減から復調した。稼ぎ頭の一つである「金典(牛乳)」が同20%増と足元販売が改善
◆健康意識の向上で、22年は消費者の6割超が乳製品購入額を増やした。また、中国当局は乳製品摂取量(1人1日当たり)を現状の300gから最大500gまで増やすことを提唱。23年の中国の乳製品市場規模は前年比6.0%増の5279億元に達する見通し。同社は市場拡大の恩恵を真っ先に受けそう
(上海駐在員事務所 山藤)