11/6~10の中国株式市場は不安定な展開が継続しよう。
10/30~31に開催された5年に1度の全国金融工作会議では、地方政府債務のリスク抑制や不動産開発会社に対する資金管理の強化等の方針を決定。今後、具体策の発表が期待され、株価の好材料とみられる。しかし、中国物流購入連合会(10/31)と財新(11/1)が発表した製造業の10月購買担当者景気指数(PMI)は共に、景況感の分岐点である50を下回り、景気減速懸念が広がった。株式市場は方向感のない中、貴州茅台酒(600519)が自社製商品の2割値上げを発表し、11/1には株価が一時前日比+9.8%となり、春秋航空(601021)も好決算(10/30発表)が好感された。
11/9には中国最大の半導体ファウンドリである中芯国際(SMIC、00981)の7~9月決算が発表予定。また、11/15~17に米国で開催予定のAPEC首脳会議に合わせ米中首脳会談の開催が見込まれる。その前週にあたる11/6の週には米半導体規制等の米中関係の情報が中国株式市場を賑わすことも想定され、ボラティリティの高い展開となろう。
中国景気は10月PMIのビジネス期待指数が示したように、10月の景況感の下振れは一時的で、緩やかではあるが持ち直しは継続するとみられる。株式市場は年末にかけて景気持ち直しを反映した相場へ変わって行くと考える。
(11/1記 投資情報部 白岩)
【紹介銘柄】
舜宇光学科技(サニー・オプティカル・テクノロジー)(香港・02382/Z4632)
◆携帯電話用カメラモジュールのリーディングカンパニー。車載用レンズ分野では、世界首位のシェアを誇る
◆23年上期は前年同期比15.9%減収、同67.8%減益。製品価格下落やドル建て債務の人民元安による為替差損などが響いた
◆上期の車載関連製品の売上高は前年同期比43.3%増と好調(売上構成比は同7.1pt上昇の17.3%)。今後、ADAS(先進運転支援システム)採用の促進やコネクテッドカーの進展などにより、レンズなど車載光学部品事業は中長期的に、拡大基調が続くと予想。また、同社主要顧客、華為技術(ファーウェイ)の携帯新機種向けの出荷拡大で、増収のほか、粗利益率の上昇にもつながろう
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)
江蘇恒瑞医薬(ジャンスー・ハンルイ・ファーマシューティカルズ)(上海A・600276/Z8425)
◆抗がん剤、手術用用品、造影剤、麻酔薬、心血管治療薬、抗生物質などの製造・販売を手がける。売上高の5割以上を占める抗がん剤では中国最大規模
◆23年上期は前年同期比9.2%増収、同8.9%増益。上期ベースで2期ぶりの増収増益
◆海外市場の開拓を推進。10月に自社開発の乳がん治療薬「Pyrotinib Maleate」と自社のPD-1抗体薬の世界市場(中国・香港・マカオ・台湾や韓国以外)の開発・商業化権利を各々インド現地製薬会社と米バイオ会社に供与。また、集中調達による値下げ圧力も「打ち止め」感があり、業績に与える影響は徐々に小さくなると考えられるため、通期は3期ぶりに増収増益に転じると予想
(上海駐在員事務所 孫)