10/30~11/3の中国株式市場はボラティリティの高い展開が継続すると見込む。
中国株式市場は10/18以降、軟調な展開が続いた。背景としては、①10/18に碧桂園(02007)が初の債務不履行に陥るなど、不動産問題が継続していること、②同日に中露首脳会談が実施され協力関係が誇示されたこと、③台湾の鴻海精密工業の主要中国子会社に対する調査など、政府による外国企業に対する管理強化、などが挙げられる。中国政府は政府系ファンドで本土株式の買い支えを実施し、10/24には異例となる期中の財政赤字限度の引き上げやインフラ投資の拡大を決定した。
10/26~28には王毅外相が訪米し11月半ばに開催が期待される米中首脳会談の詳細について詰めるとみられる。10/30~31には5年に1度開催される全国金融工作会議で不動産問題や地方政府の債務問題等について話し合われ、何らかの方針が示されよう。また、10/31に発表予定の10月の購買担当者景気指数(PMI)は景気持ち直しの継続を示すとみられ、中国株式市場にプラス要因は少なくない。
しかし、不動産問題は中長期的問題で、中東問題も長引きそうだ。10/30の週の中国株式市場はボラティリティの高い展開の中、好決算を発表した企業の個別物色に留まるとみられる。
(10/25記 投資情報部 白岩)
【紹介銘柄】
比亜迪(BYD)(香港・01211/Z3073、深センA・002594/Z8607)
◆新エネ車販売台数で世界首位
◆同社は23年1~9月期は前年同期比120.2~141.6%増益を見込む。新車販売台数が同75.5%増と好調で、携帯電話部品・組立分野の需要回復なども貢献したもよう
◆高級EV「仰望」と「方程豹」で都市部販売を強化し、さらなるシェア拡大を目指す。また、海外事業は日本やドイツなど53カ国・地域で展開中。海外市場における23年上期の新エネ車販売台数は前年同期比95.8%増。年内にハイエンドブランド「方程豹」のファーストモデルを投入する計画。24年にはハイエンドモデル7種を販売開始予定。価格帯は同社の全体平均の2倍近くで、業績押し上げに直結しそう
(上海駐在員事務所 山藤)
立訊精密工業(ラックスシェア)(深センA・002475/Z8693)
◆各種ケーブル、コネクタ、音響、ワイヤレス充電、モーター、アンテナなどを生産。米アップル社の「AirPods」もOEM生産する
◆23年7~9月期は前年同期比8.5%減収、同15.4%増益。顧客の在庫調整の影響などで減収だったが、同社は9月以降の繁忙期で挽回し23年通期は17.5~22.5%増益を見込む
◆売上全体に占める米アップル向け比率は73.3%(22年推定)。ゴーグル型端末「Vision Pro」(24年発売予定)の受託生産も請け負うようだ。また、 iPhone15シリーズは年内生産計画8630万台のうち2430万台(全体の28%)を同社が製造するとされ、鴻海精密工業に次ぐ2位サプライヤーとして存在感が増しそう
(上海駐在員事務所 奥山)