9/25~29の中国株式市場は方向感のない展開を見込む。なお、9/29の本土市場は国慶節で休場。
9/15に発表された8月主要経済指標は、8月初めに北京周辺で大雨による大規模な洪水被害があったにもかかわらず、概ね市場予想を上回り、中国景気が持ち直しつつあることを示した。特に、新車販売は前年同月比8.4%増と、7月の同1.4%減から増加へ転じ、モノ消費の伸びを支えた。懸念されている新築住宅販売は床面積が前年同月比26%減と大幅減が継続したが、8月末に政府が住宅取引規制の緩和を発表したこともあり、9月は改善が期待される。また、9/15までの国慶節(9/29~10/6)期間中の国内航空券予約数は19年比2割増(8月の同国内航空旅客数は同約1割増見込み)、ホテル予約は同6倍と急拡大しているようだ。足元の中国株式市場のファンダメンタルズは改善しつつある。
ただ、欧米投資家は景気低迷、不動産問題等を懸念し中国市場への投資を抑制、または一部売却している。9/25の国慶節前の週は国内投資家も買い控えるとみられ、外国人投資家が保有しているとみられる大型株や優良銘柄を中心に売りが出よう。ただ、景気持ち直しを期待した内需関連のバリュー株への物色も続くとみられ、全体としては方向感のない展開となろう。景気持ち直しを受けた相場展開は国慶節後に見込む。
(9/20記 投資情報部 白岩)
【紹介銘柄】
中国移動(チャイナ・モバイル)(香港・00941/Z2839)
◆中国最大の通信事業者。23年7月末時点のモバイル契約数は約9億8600万件、有線ブロードバンド契約数は約2億8817万件
◆23年6月中間期は前年同期比6.8%増収8.4%増益。個人向けと家庭向けのARPU(1契約当たりの月間平均収入)はいずれも緩やかに上昇。モバイル・クラウド(同80.5%増の422億元)の急拡大などにより、DX関連収入は同19.6%増の1326億元となり、通信サービス収入に占める割合は同3.7%pt上昇の29.3%まで拡大
◆今期予想配当利回りは7.4%と魅力的(9/20株価で算出)。なお、潤沢な現預金と堅調な業績見通しで、配当金は安定的に増加する見込み
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)
アリババ集団(香港・09988/Z8924)
◆世界最大流通総額を持つeコマース(EC)会社。EC事業のほか、クラウド、フィンテック、ネットの出前や物流など幅広いサービスを提供
◆23年4~6月期の売上高は前年同期比14%増、一時的な損益などを除くNon-GAAPベースの純利益は同43%増
◆物流事業などは大幅増収、顕著な収益性改善を実現。今後スピンオフ上場が実現すれば、同社企業価値の増大につながろう。4月に発表された生成AI「通義千問」は同社全ての製品・サービスに組み込むほか、顧客企業に対して独自の大規模言語モデル構築をカスタマイズするサービスも提供。今後、通義千問はクラウド業界における同社の競争力強化を後押しする見込み
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)