9/18~22の中国株式市場は底値固めの展開を見込む。
9/9に発表された8月生産者物価指数(PPI)は前月比+0.2%と、9カ月ぶりに増加へ転じた。在庫調整も終了しつつあるようで、製品需給が引き締まりつつあると考える。今後は、工場出荷価格の上昇による企業業績の一段の改善が期待される。また、9/11に発表された8月新規社会融資総量は3.12兆元(7月5,282億元)と急拡大。政府による起債や不動産向け融資等が拡大し、4カ月ぶりに前年比増加となった。このため、9/15に発表予定の8月主要経済指標は、8月初めの北京周辺での洪水にも関わらず、金融緩和やインフラ投資拡大等を背景に改善が見込まれる。
一方、中国経済の最大問題である新築住宅販売は9月初めに北京等で拡大したが、既に息切れを起こしている都市もあるようだ。ただ、在庫積み増し期に入り景気持ち直しが顕在化してくれば、住宅購入者の購入意欲も改善し新築住宅販売の回復に寄与しよう。なお、最大の不動産会社であった碧桂園(02007)の元建て債券の支払い延期が債権者に承認され、9/12には株価が一時前日比約10%上昇。不動産会社に対する目先の懸念が後退した。
中国株式市場は、9/29~10/6に国慶節の長期休暇を控え、月内は底値固めの展開を見込む。ただ、投資家が市場へ戻って来る10/9以降は本格的な持ち直し局面に入って行こう。
(9/13記 投資情報部 白岩)
【紹介銘柄】
立訊精密工業(ラックスシェア)(深センA・002475/Z8693)
◆各種ケーブル、コネクタ、音響、ワイヤレス充電、モーター、アンテナなどを生産
◆23年上半期は前年同期比19.5%増収、同15.1%増益。同1~9月期は同10~20%増益見通し
◆売上全体に占める米アップル向け比率は73.3%(22年推定)。「AirPods」「Apple Watch」などに加え、ゴーグル型端末「Vision Pro」(24年発売予定で、一般消費者向けの主力次世代機)の受託生産も請け負うようで、本格的に業績に寄与しそう。また、23年秋に発売予定のiPhone15シリーズは、年内の生産計画のうち28%は同社が製造を担うと見られている。鴻海精密工業に次ぐ2位サプライヤーとなり、存在感がさらに増しそうだ
(上海駐在員事務所 奥山)
南京埃斯頓自動化(エストン・オートメーション)(深センA・002747/Z9024)
◆産業用ロボットの製造などを手掛ける。中国市場で第6位、地場系で首位(2022年出荷台数ベース)
◆23年上半期は前年同期比35.4%増収、同27.7%増益。粗利益率は33.09%で、クーカを擁する美的集団(000333)の24.06%(ロボット部門)を上回る
◆中国政府はロボット密度を25年に20年比で倍増させる方針を発表した。少子化・高齢化に伴う労働力不足を背景としたロボット市場の拡大と政策の追い風が同社の業績を後押ししそう。また、中国は世界最大の産業用ロボット市場で国産化率が同7.7%pt上昇の43.7%まで高まり、同社も「中国メーカー推し」の恩恵を大きく受けよう
(上海駐在員事務所 奥山)