10/24~10/28の中国株式市場は政治的不透明感の後退で確りの展開を見込む。ただし、GDP統計が下振れすれば株価が下押しする場面もあろう。
10/16に共産党大会が開幕。習近平総書記の報告では、マルクス主義が強調され貧富の差の縮小や中間層拡大をもたらす「共同富裕」に力点が置かれた。実行には税制改革等を伴う所得の再分配が必要なことから、党指導部の影響力強化を目指す方針のようだ。また、「質の高い発展」として経済重視の姿勢が示され、新型の工業化、宇宙、交通、ネット等が重視されるようだ。
10/23に新指導部が発表予定。習近平総書記が3期目に入るとみられ、更に、新指導部のメンバー構成によっては4期目継続の可能性もあり注目される。また、10/14に発表予定だった9月貿易統計と、10/18に発表予定だった7~9月期GDP統計は10/24以降の発表となる模様。発表が急に延期されたため芳しくない結果との懸念が出ている。ただし、内需は堅調とみられ、当社は7~9月期GDP成長率が前年同期比+4.1%と、4~6月期の同+0.4%から加速するとの見方を維持する。
10/24の週の株式市場は新指導部の決定による政治的不透明感の後退に伴い、確りの展開を見込む。ただし、GDP成長率が市場予想(前年同期比+3.3%、Bloomberg)を下回る場合、景気減速を懸念し売りが一時的に強まろう。
(10/19記 投資情報部 白岩)
紹介銘柄
隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー)(上海A・601012/Z9018)
◆シリコンインゴット、ウエハー、電池セル、モジュール(太陽光パネル)などを一貫製造・販売。「単結晶シリコン型」に注力
◆22年6月中間期は前年同期比43.6%増収、同29.8%増益。原材料高などの影響で粗利益率は同5.1pt低下の17.6%と苦しい状況。ただ、1~9月期は最大同48%増益見通しと業績回復の兆し
◆高止まりが続く原料シリコン価格は、年末から23年にかけて下落局面に転じる可能性が高い。同社は22年に入り先行してウエハー価格を複数回引き上げており、コストさえ低下すれば収益の大幅改善が見込まれる。政府の新エネ後押し政策に合わせ、モジュール生産能力を年末までに前年比4割増とする目標
(上海駐在員事務所 奥山)
明陽智慧能源集団(ミンヤン・スマート・エナジー・グループ)(上海A・601615/Z9101)
◆洋上風力発電に注力。22年上半期の風力発電設備受注量は前年同期比倍増、中国市場シェアは20.4%へ拡大しトップ
◆22年6月中間期は前年同期比27.2%増収、同124.5%増益。粗利益率は同4.1pt改善。22年1~9月期は前年同期比52.68%~68.88%増益見通し
◆発電効率に優れる風力発電設備の大型化を推進。発電量が16MWに達する世界最大の風力発電設備を開発し、搭載ブレードは21年度Windpower Monthly(風力発電の世界的な専門誌)において世界タービンブレード第2位を受賞
◆中国はカーボンニュートラルを目指し、第14次五カ年計画で風力発電を推進。21年の洋上風力発電容量は前年の約3倍。原材料安も見込め、今後の収益性向上に期待
(投資情報部 呉)