5/23~5/27の中国株式市場は持ち直しの基調を維持しよう。
5/16に発表された4月の経済指標は多くが市場予想よりも悪く、ゼロコロナ政策が中国経済に重くのしかかっていることを示した。ゼロコロナの影響が出やすい小売売上高は前年同月比11.1%減(3月同3.5%減)と、マイナス幅が拡大し、鉱工業生産は同2.9%減(3月同5.0%増)と、伸び率がマイナスへ転じた。しかし、経済指標の発表とほぼ同じ時刻に上海市の宗明副市長が新型コロナの感染拡大に歯止めがかかったとして、段階的に外出制限を撤廃する方針を示し、「6月1日から中下旬に正常な生活と生産が回復する」と発言した。また、5/17に劉鶴副首相がデジタル経済や民間企業の発展、企業の上場を支援すると述べたことから、政府がハイテクへの締め付けを緩和するとの思惑が高まった。
5/16の株価は経済指標の発表前後から下落していたが、その後経済の正常化期待から下げ止まり、5/17以降は概ね底堅く推移している(5/18時点)。5/22からは上海の公共交通機関が徐々に再開される予定で、そうなれば、景気回復期待が一段と高まり株価は更に堅調となろう。ただ、都市封鎖解除の過程で再び感染が拡大する可能性も否定できず、株式市場は不安定な動きを交えながらも持ち直しの基調を維持しよう。
5/26にはアリババ集団(09988)、百度集団(09888)等の決算発表が続く。好業績は見込んでいないが、予想を上回れば素直に好感しよう。
(5/18記 投資情報部 白岩)
紹介銘柄
国電南瑞科技(ナリ・テクノロジー)(上海A・600406/Z8435)
◆送配電網自動化、電力ネットワーク等の関連システム統合サービスを提供。「新型インフラ」特高圧分野に強み。EV充電パイルの配電管理システムの開発も行う
◆22年1~3月期は前年同期比16.9%増収88.3%増益。粗利益率は同1.35pt上昇の23.40%。送配電自動化分野でのハイエンド製品の販売増などが寄与
◆新エネが主体の電力システム構築には送配電網の更新が必要とされ、同社製品の受注増が見込まれる。親会社の国家電網は、25年までに7本の特高圧(直流)整備を進めている。25年の投資額は21年比51.7%増の5870億元に達する見通し。特高圧向け自動化システムでシェア50%超の同社業績の後押し材料になりそう
(上海駐在員事務所 山藤)
海爾智家(ハイアール・スマート・ホーム)(上海A・600690/Z8448)
◆冷蔵庫と洗濯機の市場シェアで中国首位(21年、実店舗販売額ベース)。旧三洋電機の「AQUA(アクア)」などを傘下に置く。海外売上高比率は50.6%(21年12月期)。産業向けIoTプラットフォームも開発
◆22年1~3月期は前年同期比10.0%増収15.1%増益。原料コスト高の中でも二桁増収増益を達成。粗利益率は28.54%と同0.05pt上昇。美的集団(000333)の22.65%、珠海格力電器(000651)の24.24%を上回った。高級ブランド「Casarte」などの販売が好調だったよう
◆中国で相次ぐ都市封鎖を背景に、食品保存の必要性から冷蔵庫の注目度が上昇。買い替えや2台目購入などの特需の恩恵受けそう
(上海駐在員事務所 奥山)