28日の香港株式市場は小幅に3日続落した。ハンセン指数の終値は前週末比54.16pt(0.23%)安の22,713.02ptとなり、昨年来安値を更新した。欧米諸国がロシアの一部銀行を国際決済網の「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除する金融制裁を科すと決めた。ウクライナ情勢や対ロ制裁による世界経済への影響などを懸念し、投資家が運用リスクを回避する姿勢を強めた。もっともアジア時間28日午後にかけて、米株価指数先物が急速に下げ幅を縮めると、ハンセン指数も歩調を合わせて下げ渋った。自動車の吉利汽車控股(ジーリー・オートモービル、00175)の下げが目立ち、香港取引所(ホンコン・エクスチェンジズ・アンド・クリアリング、00388)も売られた。半面、本土銀行株や中国石油天然気(ペトロチャイナ、00857)といった石油関連株が上昇し、ゲームの網易(ネットイース、09999)も大幅高となった。香港メーンボードの売買代金は1534億香港ドルだった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで8億8300万香港ドルの買い越しだった。
28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前週末比166ドル15セント(0.5%)安の33,892ドル60セントで終えた。欧米がロシアの銀行をSWIFTから締め出す方針を打ち出し、制裁強化が世界経済を冷やしかねないとみた売りが出た。引けにかけてハイテク株に押し目買いが入り、下げ幅を縮めた。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3日続伸した。前週末比56.775pt(0.4%)高の13,751.399ptで終えた。
1日の香港株式市場でハンセン指数は軟調な展開か。米国株式市場でダウ工業株30種平均が反落した流れを受け、売りが先行しそうだ。また、香港における新型コロナ新規感染拡大への懸念やウクライナ情勢への警戒は根強く市場全体の重荷となろう。
(マーケット支援部 林)
もみ合いか
28日の中国・上海株式市場は続伸した。上海総合指数の終値は前週末比10.9003pt(0.31%)高の3,462.3064ptだった。朝方はウクライナ情勢の先行き不透明感からリスク回避の売りが先行したが、ウクライナとロシアの停戦協議や中ロの経済協力拡大への期待感から次第に買いが優勢になった。指数は午後に入ると上昇に転じた。対ロ制裁を受けて中ロで経済協力が強まるとの観測から、対ロ貿易株に買いが入った。米欧諸国は26日、SWIFTの決済網からロシアの一部銀行を排除することを決定した。それを受け暗号資産(仮想通貨)の利用増につながるとの思惑から、仮想通貨関連が高かった。石炭や石油、希土類(レアアース)関連株も買われた。半面、観光関連や保険、家電関連株が安く、電子製品株も売られた。上海・深セン両市場を合わせた売買代金は9491億元となり、節目の1兆元を再び下回った。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで20億4700万元の買い越しだった。個別では、宜賓五糧液(ウーリィアンイェー・イービン、000858)、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)などが買い越しとなり、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、珠海格力電器(グリー・エレクトリック・アプライアンシズ・オブ・ヂューハイ、000651)などが売り越しとなった。
1日の中国本土市場はもみ合いか。本日も引き続きウクライナ情勢に左右されやすい展開となろう。経済指標では、日本時間10:30に中国の2月製造業・非製造業PMI、および日本時間10:45に2月財新中国製造業PMIが発表される予定。経済指標の結果次第では値動きが大きくなる可能性もあろう。
(マーケット支援部 林)