2月28日~3月4日の中国株式市場は、ロシアへの経済制裁強化の影響から世界株式市場のボラティリティの高まりが予想される中、中国本土市場はマクロ面の好材料や政策期待を下支えに比較的しっかり、香港市場は外部環境を睨みながら方向感に乏しい展開を想定する。
米欧主要6カ国と欧州連合(EU)は26日、ロシアを国際的な金融決済網から排除する新たな経済制裁で合意した。ロシアでは、海外送金ができなくなることを恐れて制裁対象の銀行から預金の引き出しが発生するとの観測が出ているほか、資源取引への影響も懸念されており、世界の株式市場への影響も大きくなることが予想される。また、中国の習近平国家主席が、態度表明は留保しつつも、米欧の制裁についてはロシアを支援するように指示していたことが伝わった。習政権は、中長期的に続く米国との対立をにらみ、対露連携を維持するためにロシア寄りの姿勢を強めているとの見方もあり、今後海外投資資金の動向にも留意が必要となる可能性は考慮しておきたい。
一方で中国本土市場については、好調な内容が期待されるマクロ指標や週末(3月5日)に開幕する全国人民代表大会(全人代)を前にした政策期待の高まりが下支え材料となりそうだ。3月1日に中国2月購買担当者景気指数(PMI)が発表される予定。1月PMIで、今後のビジネスの見通しを示すビジネス期待指数が製造業、非製造業ともに改善したことから、2月PMIは改善が期待されよう。2月21日発表の中国70都市新築住宅価格指数は前月比でほぼ変わらずと、12月の0.28%低下から低下幅が縮小した。2月のPMIでも不動産部門の改善に注目が集まりそうだ。全人代では、5年に1度の共産党大会を今秋に控え、景気安定を重視している中国政府がインフラ投資や減税以外の景気下支え策を発表する可能性があろう。今年の成長目標が「+5.0%前後」に設定されれば、10~12月GDP成長率が+4.0%だっただけに景気持ち直しに向けた政策期待が高まろう。
海外投資家の参加が多い香港市場は外部環境の動きを睨みながら方向感に乏しい展開か。足元ネット企業に対する規制強化の懸念が高まりつつあるが、ネット規制についてはフードデリバリー料金の引き下げ等が中心となっており、業界全体への影響は限定的と思われる。決算発表が始まってきており、内容を受け個別銘柄を選別物色する動きが強まりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
今週の主なスケジュール
2月
28日(月)
1月の豪小売売上高
10~12月期インドGDP
休場=台湾(平和記念日)、インドネシア(ムハンマド昇天祭)
3月
1日(火)
2月の中国製造業・非製造業PMI
2月の財新中国製造業PMI
豪中銀が金融政策発表(午後0時半)
10~12月期の豪経常収支
決算=百度集団(09888)
休場=韓国(独立運動記念日)、インド(マハーシヴァラートリー)
2日(水)
10~12月期の豪GDP
3日(木)
1月の豪貿易収支
1月の豪住宅着工許可件数
2月の財新中国サービス業PMI
マレーシア中銀が金融政策発表
決算=トリップドットコム(09961)、ビリビリ(09626)
休場=インドネシア(ヒンズー教新年)
中国の全国政治協商会議(政協)開幕(北京)
4日(金)
冬季パラリンピック北京大会(13日まで)
5日(土)
中国全国人民代表大会(全人代)開幕(北京)