貿易交渉の進展・減税政策成立期待が相場をけん引しよう
6/9~13の米国株式市場は、上値を試す展開を想定。
経済協力開発機構(OECD)は6/3に発表した経済見通しで、関税の影響と政策の不確実性により米国の25年の成長率を1.6%、26年は1.5%とそれぞれ3月予測から下方修正した。また、関税引き上げによる販売価格上昇の影響で25年の予想インフレ率は3.2%と3月予測から引き上げた。米国で保護主義が強まり、インフレ加速や供給網の混乱を招けば、成長見通しはさらに弱まる可能性も指摘された。
もっとも、S&P500は足もと高値圏でのもみ合いが続いている。米国の通商政策に対する緊張感が再び強まる場面もあったが、中国を含む貿易相手国・地域との交渉進展期待や、6/3に発表された4月の雇用動態調査(JOLTS)で求人件数が市場予想を上回り雇用市場の安定が示唆されたこと等が理由とみられる。7月には減税策が成立されるとの期待もあり、株価は上値を試す場面もあろう。
イベント面では6/9に開催されるアップル(AAPL)の年次開発者会議「WWDC25」に注目したい。今年の WWDC でアップル は、Apple Intelligence の基盤となる大規模言語モデルを使用してサードパーティが機能を構築できるようにするソフトウェア開発キットをリリースする予定と報じられている。アップルはAI展開の遅れや関税の影響等が嫌気され、他のテック企業に比べ冴えない動きをしているが、Apple Intelligenceが外部に公開されれば、iPhoneやAI対応デバイス向けのアプリの開発加速への期待が生まれよう。
(6/4記 投資情報部 岩井)