米中協議が進展し、関税問題は最悪期を過ぎたか
5/19~23の米国株式市場は、戻りを試す展開を想定。
5/12、米中政府は互いに課した追加関税を90日間、115%pt引き下げることに合意したと発表。米国は累計145%の対中関税を30%に、中国は125%の追加関税を10%にまで下げるとした。米中合意にはもう少し時間がかかるという見方があったことや関税の引き下げ幅も想定よりも大きかったことからポジティブサプライズとなり、市場でもリスクオフの修正が一気に進むこととなった。もっとも、関税が賦課される前と比較すると税率が引き上げられている点や90日間の期限付きである点、引き続き米国と主要貿易相手国との関税協議の行方も考えると、楽観的すぎる見方には注意が必要か。
足もとでは10年債利回りが上昇基調にある。投資家心理の改善によって安全資産とされる米国債の売りが進んでいるようで利回りは4.47%(5/12時点)に上昇。米10年国債利回りとS&P500の益利回り(PERの逆数)を比べてみると、益利回りは4.46%(同、QUICK予想より算出)と両者ほぼ同水準にある。戻りを試す過程で株価の割高も意識されよう。
英国との関税交渉の合意に続き、米中協議も交渉が進展していることから最悪期を過ぎたと言えそうで、今後は関税の影響が米国経済にどのような影響が出てくるか注目されよう。経済指標の悪化が確認された際には、市場ではネガティブ材料として受け止められる可能性があるものの、関税交渉の進展を背景にインフレ圧力が収まり始めていることから、FRBによる利下げ観測の高まりが株価の下支え要因となろう。 (5/14記 投資情報部 岩井)
(5/14記 投資情報部 岩井)