S&P500は相互関税発表前の水準を回復
5/12~16の米国株式市場は、上値の重い展開を想定。
S&P500構成銘柄の内、417社が25年1Q(1~3月)の決算発表を終え、75%の企業が市場の利益予想(LSEG集計、5/7時点)を上回っている。底堅い企業業績を支えにS&P500は5/2の終値5,686.67ptと、トランプ政権が関税政策を発表する前の水準(4/2終値5,670.97pt)を上回った。今後は関税が経済指標にどの程度影響するか見極めが必要だろう。5/15には4月小売売上高、5/16にはミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)が発表予定だが、景気後退懸念が浮上する内容であった場合、目先の米国株の上値は限定的になろう。
FRBは5/6~7に開催されたFOMCで政策金利の据え置きを決定した。市場や消費者の景況感は悪化しているものの、雇用や消費の実際の動向を示すハードデータは底堅い。FOMCの声明文でも米経済について「堅調なペースで拡大を続けている」との認識を維持した。パウエル議長は早期利下げについても慎重な見方を示したことで利下げ観測は後退している。CMEのFedWatchツールによると、6月の利下げ(0.25%分、5/8時点)確率は約16%となっている。前週5/1時点では55%が利下げを見込んでいた。
関税関連では、ベッセント財務長官とグリア通商代表部(USTR)代表がスイスを訪問し、中国の代表と貿易問題をめぐり正式に協議すると発表した。話し合いは5/10に始まる予定。トランプ大統領は早急な対中関税引き下げは考えていないとしているが、関税交渉の進展となれば投資家心理の改善に繋がろう。
(5/8記 投資情報部 岩井)