アイオワ電子市場は共和党勝利を予想
11/8に米中間選挙が予定されている。中間選挙とは大統領任期の中間で実施される選挙のためそのように呼ばれている。米中間選挙では上院の1/3の改選議席と下院全議席、州知事などのポストを巡って争われる。大統領の所属政党にとっては鬼門として知られている。
今回の中間選挙では下院は共和党有利、上院は拮抗というのが下馬評だった。ただ足もとアイオワ電子市場の議会選挙先物では共和党が上院、下院ともに勝利を予想する先物の価格が急騰しており、約8割程度の勝利確率を織り込んでいる。上院も共和党が有利との見方が増えているようだ。
選挙の争点は
The Economist/YouGovが10/22~10/25に米国成人市民1500人を対象に実施した調査によると、今回の選挙で最も重要な争点と回答された比率が高かったものは、インフレ/物価で24%の有権者が最も重要と回答し、2位の気候変動・環境(11%)、3位のヘルスケア(10%)を大きく上回った。物価を重視する傾向は人種、年齢、性別、所得を問わず見られた。
ただし政党IDが民主党の有権者の間では物価よりも気候変動・環境を重視する傾向がみられた。共和党や無党派はインフレ/物価を優先する傾向がみられ、特に共和党に至っては気候変動・環境を最も重視との回答はわずか3%しかいない。
インフレ/物価以外で共和党登録者が重視する項目は、税・政府支出や移民問題などが挙げられる。17年のトランプ減税の恒久化を模索しているとの報道も。上記を民主党登録の有権者は重視しておらず、考えの隔たりは大きそうだ。
共和党が勝利しても、大統領は拒否権等で法案成立を拒否できる。ただ委員会の委員長ポストを共和党が獲得する。委員長は審議する法案を選べるため、共和党の政策課題が優先審議されよう。この関係を踏まえれば超党派で合意できる項目しか通りにくくなりそうだ。
共和党が勝利した場合の株式への影響は
アイオワ電子市場の予想通り、共和党が勝利した場合、株式市場は好感すると予想。サンダース候補と妥協して大統領候補になった経緯から現在のバイデン政権は比較的左派色の強い政権だが、共和党が勝利すれば議会対策の観点から中道色が強まると予想される。株式市場には好材料と思われる。
インフレ対策の進展も従来よりも期待できそうだ。共和党登録の有権者はインフレ対策を重視する一方、気候変動、環境問題を軽視している。インフレ対策に米国内での原油の増産などといった方法を用いやすくなると考える。供給面の改善は高インフレ状態からの脱却を容易にすると思われ、需要抑制経由である金融引き締めよりも景気に対しても悪影響を抑えられそうだ。
(投資情報部 藤本)